[研究内容] Bファクトリー加速器(KEKB, SuperKEKB)

KEKB加速器やSuperKEKB加速器は、高いエネルギーの電子と陽電子を二つのリングにそれぞれ蓄積し、その交差点(IP)で衝突させて素粒子物理の実験を行う「衝突型円形加速器」です。電子と陽電子の衝突によりB中間子を大量に作り出すことから「Bファクトリー加速器」と呼ばれています。

目的・ビジョン
KEKB加速器では「CP対称性の破れ」の証明に貢献しました。さらにSuperKEKB加速器では「標準理論」を超える物理を探索するため、より高い衝突性能(ルミノシティ)を実現することを掲げています。

概要
1998年の年末、小林・益川両博士の理論(CP対称性の破れに関する小林・益川理論)を証明することを主目的に計画された大型の衝突型加速器KEKBが完成しました。KEKB加速器は一周が3000メートル以上にも及ぶ大型円形加速器2基からなり、各加速器リングには電子と陽電子のビームが蓄えられます。2本のリングは1か所で交差し、そこで電子とその反粒子である陽電子が衝突し素粒子反応が起こります。

しかし、ただビーム同士を衝突させればよいというわけではありません。質の高い物理データを出すためには莫大な回数の素粒子反応を起こさせることが求められます。そのため、衝突すべきビームはその強度をより強く、またビーム断面は極端に細くすること、つまり衝突性能の向上が強く要請されています。

KEKBの加速器研究グループでは、この要請に応えるためハードウェア面、ソフトウェア面からさまざまな開発研究を行ってきました。この研究の結果、衝突性能においてアメリカの好敵手PEP-II加速器との競争に勝ち、小林・益川理論の実証をはじめさまざまな物理学における成果を出すことに貢献しました。KEKB加速器で蓄積された知識と経験は、さらなる衝突性能向上を目指して現在稼働中のSuperKEKB加速器運転に活かされています。

また、SuperKEKB加速器は、「ナノ・ビーム方式」を採用し世界で初めて実用化した加速器です。この「ナノ・ビーム方式」と大電流ビームにより、衝突性能の飛躍的な向上を目指します。

関連ページ
SuperKEKB https://www-superkekb.kek.jp/ 英語(研究者向けサイト)
Belle II実験 https://belle2.jp/ja/ 日本語
Belle II https://www.belle2.org/ 英語(研究者向けサイト)