無塗装で、大気環境下で長期間使用可能な鋼材の耐食メカニズムを放射光のその場観察法(XAFS,XRD)を用いて解明。微量の元素添加により耐食性を向上させる"良いさび"が形成することを発見。
従来技術では、腐食前の鋼材の電気化学的測定、もしくは、長期腐食試験後の試料を断面観察する手法が中心。放射光を用いることにより、実環境を模擬した乾燥⇄湿潤サイクルの中での反応を、XAFS,XRDによりナノレベル観察でき、耐食性向上のメカニズムの解明と指針を得る事ができた。
大気腐食を左右する"さび"の形成を制御することにより長期大気で使用可能な材料設計指針を提示。低環境負荷でインフラ維持を実現。開発された材料は、実際の橋梁へ適用。
PF での実験は、単に放射光のビームタイムを使えるだけでなく、スタッフの方々に測定法や材料科学に関して多くのアドバイスを頂きながら研究を進められました。昼夜ぶっ続けの実験は大変でしたが、自分が望む「材料開発のための観察報」を実現して、従来法では解明できなかった現象を解明できたこと、それが材料開発に繋がったことは大きな喜びでした!