PF

PF産業利用成果トピックス #3

ガスハイドレートの氷膜の位相差X線イメージング

PFでの研究期間
2012年4月-2013年3月
研究機関
三井造船株式会社
主要な研究者
佐野 健一、高橋 正浩、三町 博子、伊藤 真人、後藤 義人(産業技術総合研究所)、竹谷 敏(産業技術総合研究所)、上田 和浩(株式会社日立製作所)、米山 明男(株式会社日立製作所)
使用ビームライン/手法
BL-14C / 位相差X線CT

研究の概要

放射光を利用した位相差X線CTでは、低温セルを用いることで氷とクラスレートハイドレートとの分布を可視化する技術が確立している。
本技術を天然ガスハイドレート(以降、NGH)に適用し、「自己保存効果」の発現に関与している氷膜の分布状態を調べた結果、NGHは数百ミクロンの薄い氷膜で覆われていることが明らかになった。

img3-1

PF活用のポイント

従来の吸収型のX線CTではガスハイドレートと氷の明確な識別ができなかったが、分離型の位相差X線CTを利用することで密度の近い物質であるガスハイドレートと氷でも造影剤無しに識別が可能となり、実物大に近いオーダーでNGHと氷の三次元分布画像の取得に成功した。


産業への貢献・製品への応用・経済波及効果など

工業的に製造した複数のNGHを一定条件で測定し、氷膜の存在とともにその内部にはNGHが緻密に詰まっていることが確認された。これらの結果はNGHペレットの品質を担保し、製造プロセスの妥当性を裏付けるものである。


研究者からの一言

放射光について全くの初心者でしたが、「フォトンファクトリーの産業利用促進」課題の中でPF職員の方々にサポートいただき、各種手続きや実験を問題なく進められました。その後、共同研究に発展し、研究の幅が広がる良い経験となっています。