従来の手法と比較して10倍以上高感度である屈折コントラストX線イメージング法を利用して、有機材料の詳細な非破壊三次元観察および評価の可能性について検討を行った。電線の絶縁材料である発泡ポリエチレンを観察したところ、内部のポリマーと気泡を高精細に可視化することに成功し、さらに定量的な評価にも適用できることがわかった。
従来の吸収コントラストX線CTでは観察することが難しかった内部の発泡状態を高精細に可視化することが可能になった。さらに高いS/Nの画像であるために、気泡のサイズや空間的な分布等に関する定量的な解析も行うことができた。
生成条件の異なる複数のサンプルを測定することで、生成条件と気泡の関係を把握し、最適条件に関する指針を得ることができた。また、従来の可視光を用いた観察方法と定量的な比較を行うことで、従来法の性能を評価することができた。
口頭発表:屈折コントラストX線イメージング法による発泡ポリマーの観察(第26回PFシンポジウム)
1年という短い期間でしたが、PFスタッフのご協力により、計画していた撮像システムの構築から非破壊3次元測定まで行うことができました。その後、より大きな視野で高いエネルギーのX線を利用した撮像に発展し、放射光の奥の深さを実感しています。