分子量制御されたアミロースとヨウ素の複合体の構造解析
- PFでの研究期間
- 20010年10月-2011年12月
- 研究機関
- 関東天然瓦斯開発株式会社
- 主要な研究者
- 関東天然瓦斯開発株式会社 海宝龍夫、山口秀幸、田口充
江崎グリコ株式会社 寺田喜信、東口文治
千葉大学 小西健久
- 使用ビームライン/手法
- BL-7C,BL-12C,NW10A / 硬エックス線XAFS
研究の概要
砂糖に2種の酵素を作用させることにより、工業的に純粋なアミロースを合成する方法を完成させた。酵素合成アミロース(ESA)はポリヨウ素と安定な複合体を形成する。複合体中に存在するヨウ素化学種やESA分子量とヨウ素の包接状態との関係について調べるため、透過法XAFS測定を行った。今回の実験結果からは、ESA分子量とヨウ素包接状態に明確な相関関係は見出すことができなかった。ヨウ素K端EXAFSからヨウ素原子間距離を計算した結果、複合体中のヨウ素がI3-(三ヨウ化物イオン)の状態であることが判明した。三ヨウ化物イオンは比較的安定なポリヨウ素イオンであることから、殺菌などの用途における製品の効果の持続性、保存安定性について有利であると期待できる。
PF活用のポイント
ヨウ素K端EXAFS測定により、複合体中のヨウ素の原子間距離が明らかになったことにより、複合体中のヨウ素がI3- (三ヨウ化物イオン)で存在していることが分かった。
産業への貢献・製品への応用・経済波及効果など
アミロースヨウ素複合体を含有する繊維および不織布を作製し、これを抗菌・抗ウイルス性素材として利用をした用途開発を進めている。この不織布を用いて、抗菌性マスクを試作した。
論文・総説
学会・論文発表
- 海宝龍夫、田口充、三瓶春代、細谷佳代、高久三枝子、井上修、"Utilization of Polyiodide and Amylose Complex", 25th International Carbohydrate Symposium (2010)
- 海宝龍夫、山口秀幸、田口充、三瓶春代、寺田喜信、高久三枝子、徳田宏、 "Complex of Biologically Synthesized Amylose and Polyiodide", 14th IUPAC International Symposium on Macro Molecular Complexes (2011)
- 海宝龍夫、田口充、寺田喜信、小西健久、西野潤一、"Biologically Synthesized Amylose and Polyiodide Complex", IUCr 2011 Satellite Symposium of Halogen Bonding(2011)
- 海宝龍夫、田口充、山口秀幸、寺田喜信、小西健久、加納博文、"Industrial Apprication of Halogen Bonding", 1st International Symposium on Halogen Bonding (2014)
新聞・雑誌発表
- ヨウ素と糖類の複合材料、「化学と工業」4月号 (2012)
受賞
研究者からの一言
当研究課題はトライアルユース課題として採用して頂いたことから、設備を無償で利用することできました。またスタッフの方々から、測定方法をはじめ多くのアドバイスを頂きながら研究を進めることができて大変感謝しております。