Alイオン注入SiC基板におけるイオン注入層の欠陥状態を評価するため、斜入射トポグラフィー法においてX線侵入深さを制御して異なる深さの情報を抽出する手法を確立した。各種注入条件で作製した基板を観察した結果の一例を右図に示す。
これまでイオン注入後の欠陥の評価は主に電気特性とTEM観察によって行ってきたが、PFの利用によって広域の欠陥分布状態を非破壊で観察することができた。
イオン注入条件の最適化のために有用な評価手法の見通しが得られた。本手法の確立・実用化によってSiCパワーデバイスの高品位化に貢献できる。
大企業でない民間会社に在籍し、放射光を専門分野としないものにとって放射光を利用した材料の評価は現実に手の出しようがない手法であった。今回トライアルユースを利用させていただくに当たっては産業利用室の技術的な支援をも頂いた結果放射光を用いた評価が可能となり、新しい知見が得られつつある。