斜入射X線トポグラフィーを用いて炭化ケイ素(4H-SiC)に内在する刃状転位、らせん転位、及び混合転位の密度、分布、およびバーガースベクトルを観察し、当センターで開発した高温KOH・NaOH蒸気エッチングによるエッチピットと比較した。その結果、KOH・NaOH蒸気エッチング法では全ての貫通転位を検出できること、更にらせん転位と混合転位とを判別できることがわかった。
放射光の特性を生かした斜入射トポグラフィーを用いることによって高精度の欠陥解析が可能になり、転位の種類に関する情報を正確に得られたことで化学エッチング法の転位分類技術としての正確性を検証できた。
広い面積の欠陥情報を迅速・低コストで観察可能になり結晶成長の最適化や低価格化、及びSiCデバイスの不良解析技術の開発に貢献できる。これによってSiCパワーデバイスの高品質化が加速されることが期待される。
論文:Yao Y. et al., Mater. Sci. Forum, 858 (2016) 389
国際会議:ICSCRM 2015、イタリア
PF産業利用は、放射光初心者の我々にとって、最先端の放射光施設を利用する大変貴重な機会であります。PF職員の方々に様々なサポートをいただき、研究をスムーズに進められました。放射光実験で得られたSiCの各種転位の分布は、その材料の欠陥評価技術の開発になくてはならない情報でした。