ビームラインの最新整備状況についてお知らせします。(2015年10月現在)
BL-2ではタンデム配置の真空紫外領域(VUV:30-300 eV)用と軟X線領域 (SX:250-2000 eV)用の2台のアンジュレータと斜入射分光器を用いて、BL-2Aでは30-2000 eV程度、BL-2Bでは二結晶分光器を追加することで30-4000 eV程度の単色光を同一のポートで供給できるような高輝度ビームラインとして日立製作所と共同で整備を進めています。これにより、戦略元素群の研究に必要なエネルギー領域をカバーし、表面・界面物性、機能性材料、環境材料などの評価・開発研究を推進する予定です。2015年度第二期から共同利用実験を開始しましたが、ビームラインの事情で段階的に進めている状況ですので、新規に課題申請を検討している方はステーション担当者(組頭:hkumi★post.kek.jp, ★を@に変えてご利用ください)にご相談ください。
BL-13は、角度分解真空紫外光電子分光、高分解能内殻光電子分光、高分解能軟X線吸収分光を駆使して、有機薄膜・分子吸着系の表面科学、有機デバイス科学、触媒化学等に関する研究を行うことができるように整備されております。また、フリーポートを用意しておりますので、2m×2m程度の大きさの装置であれば持ち込んでの実験が可能です。
2015年2月に可変偏光アンジュレータを設置し、5-6月に調整を行いました。また、8月に出射スリット位置を最適化したので、10月19-29日に再調整を行う予定です。再調整後は、48~1,600 eVの水平直線偏光、102~1,600 eVの垂直直線偏光、74~700 eVの左右円偏光、59~1,600 eVの左右楕円偏光を利用できるようになります。
BL-17Aでは2015年1~4月にかけて行った高度化により、ビーム径10 ~ 20 μmのビームが波長範囲0.9 ~ 2.1 Åにわたって利用できるようになりました。ビーム強度は2014年秋までのBL-17Aの10 ~ 30倍に向上しています。2015年10月期からは結晶化プレートに直接X線を照射してデータ収集する実験モードも一般に公開します。クライオピンでの通常の実験モードと結晶化プレートでの実験モードをユーザーがビームタイム中に自由に切り替えることが可能です。
NE5Cは大型プレス(MAX80)を用いた高温高圧下でのX線実験ステーションですが、今年からX線回折・吸収分光複合実験を行うために、角度分散型高エネルギーX線回折実験用の二結晶分光器を修復し、ビームライン最終端の窓材をアルミからベリリウムに変更しました。更に物質化学(XAFS)グループのサポートにより、高圧XAFS実験のために分光器制御ソフトや測定システムを新たに整備しました。
この結果、圧力媒体の影響を考えなければ、ビームライン自体としては10~50keVのエネルギー領域で、XAFSの測定が可能になりました。
今後は複合測定に向けての制御・測定システムの最適化や、高圧XAFS実験技術の開発を継続しつつユーザーに公開して行く予定です。
これまでのお知らせは【実験装置・施設】ー【ビームラインの最新整備状況】から見ることができます。