PF

超伝導ウィグラー修理に伴うBL-14の長期閉鎖について

PFからのお知らせ
2016年11月25日

高エネルギー加速器研究機構
物質構造科学研究所
放射光科学研究施設
施設長 村上洋一

いつもフォトンファクトリーをご利用いただきありがとうございます。
PFのBL-14は、PFリングに設置されている超伝導ウィグラーを光源として、縦偏光の高エネルギーX線を利用した共同利用実験を実施してきましたが、この度、超伝導ウィグラーの重故障により、BL-14を2017年1月から約10ヶ月の長期閉鎖とすることとしました。経緯と今後の予定についてお知らせいたします。

【経緯】
BL-14 では、超伝導ウィグラーのビームダクトの溶接部に2011年の地震後から真空リークが発生しており、応急措置を施しつつ運転を継続してきました。また2015年末より断熱真空の悪化も顕著となり、2016年5月に応急措置を施し、6月にウィグラー励磁を再開しました。2016年の夏季にはかねてより準備していた再液化機の更新を完了し、10月より運転に入ったところでしたが、リング立上げ期間中に発生した超電導電磁石のクエンチをきっかけとして、ビームダクトと断熱真空のリークが同時に再発しました。ビームダクトの腐食の進行により、リーク箇所が拡大する傾向も見られています。11月現在、液体ヘリウムの消費量は通常量を保っており,12月19日の今期終了までは運転を継続できる見込みです。
しかし、今後クエンチや地震などによって、ビームダクト真空や断熱真空が大幅に悪化する恐れがあります。特に冷却状態で断熱真空が破断した場合、PFリングの長期間の運転休止を招く事態も想定されることから、BL-14を約10ヶ月の長期閉鎖とすることを決断いたしました。

【今後の予定】
超伝導ウィグラーの冷却状態で断熱真空が破断する事態を回避するために、超伝導ウィグラーの冷却を2016年12月の運転終了後に中断します。2017年1月から5月までの交換作業準備期間は、室温を保持し、リング真空の保全と故障診断と交換の準備に万全を期する予定です。2017年5月から予定されている約5 カ月の運転休止期間に、ウィグラービームダクトの交換を行うことにより、現在判明しているリーク箇所をすべて更新し、2017年10月末よりユーザー実験を再開する予定です。

2017年度のPFおよびPF-AR運転予定について

ユーザーの皆様には多大なご迷惑をおかけすることをお詫び申し上げます。何卒ご理解を賜りますようお願い致します。

【本件に関する問い合わせ先】
物質構造科学研究所
放射光科学研究施設
主幹秘書室
Email:pf-sec★pfiqst.kek.jp
(★を@に変えてご利用ください)