放射光科学第一研究系:固体物理学研究部門
固体物理学研究部門では、放射光をはじめ、物構研のもつ4つの量子ビームを使って、物質の結晶構造・電子構造を調べることで、物質のもつ性質や材料の機能の起源を解明する実験的・理論的な研究を行っています。また、そこから得られた知見をもとに、新奇な物性の開拓や新たな材料の開発を推進しています。さらに放射光実験施設とも協力して、次期光源も視野にいれた新たな実験手法の開拓や、実験装置の高度化・最適化も行っています。
活動内容
精密構造解析による物性発現機構の解明
結晶中における原子・イオン・分子の配列がどのように物性の発現に寄与しているか、また、温度・電場・圧力・光照射など、外部から結晶に摂動を与えたときに起こる結晶構造と物性の変化の関係を明らかにする研究を行っています。
TTF-CAにおける外部電場とイオン変位
物性発現の背後に存在する新奇秩序相の解明
物質科学では、新たな物性の背後に新奇な秩序状態が良く発見されます。このような新たな秩序状態は、基礎物理として興味深いだけでなく、物性の発現機構を理解する上で極めて重要です。
- コバルト酸化物の「中間スピン状態」の存在の解明
- 薄膜化による格子歪み制御により新たな磁性材料の開発
メンバー・連絡先 | 主な研究内容 | リンク | |
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熊井 玲児 [教授]reiji.kumai@kek.jp4号館227号室 |
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researchmap ORCID |
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佐賀山 基 [准教授]hajime.sagayama@kek.jp4号館216号室 |
researchmap |
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