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3. 研究成果 3.3 標準理論を越える新しい現象の探索 3.3.5 エネルギー精査実験 1992年にLEP実験グループが、レプトン対と高エネルギーの2個のフォトン()が一度に発生する反応を調べると、フォトン対の実効質量が59GeVになる事象数が予想より多いと発表し、新粒子の可能性を匂わせたため、大きな話題となった。軽いヒッグス粒子が生成されると への崩壊が起こり得るため、他の実験グループも急いでレプトン対を含む事象を探し、同様な解析を行った。同じ程度の質量にハドロンジェット状態は集中しないことから、ヒッグス粒子である可能性は薄いと判断されたが、何らかの新粒子かどうかについては判定しきれなかった。 それ以前のトリスタン実験は、64GeVまでの や 生成反応に、何の異常もないことを確認していた。しかし、もし59GeVあたりに に崩壊できる巾の狭い粒子があれば、測定の網を逃れていた可能性もある。逆にトリスタンは、反応エネルギーをその質量に合わせると、その粒子を直接に生成できる立場にあった。そこで、既に測定した点とビームエネルギーの拡がりとを考慮した細かいステップでエネルギーを変えながら、いわゆるエネルギー精査法により、新粒子の可能性に答えを出すことにした。(これは、J/ や 粒子のピーク探しと同じ方法である)。この実験は、効率よく実施されて1ヵ月で終り、短期間で図35のような結果が得られた。結局、どの反応チャンネルでも事象の過剰な集中は現われず、新粒子の可能性を実質的に否定する、厳しい制限を与える結果となった。 Figure 35: エネルギー精査実験の結果(TOPAZ)。4種の反応の頻度のエネルギー変化を示す。 |
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