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2025S2-003 軟X線吸収分光法による固液界面上の化学反応のオペランド計測

実験責任者 所属 ステーション 期  間
長坂 将成 自然科学研究機構 分子科学研究所 13A/B, 16A, 19A/B, 7A 2025/10〜2028/09
 軟X線吸収分光法(Soft X-ray absorption spectroscopy: XAS)は、元素選択的に軽元素や遷移金属の電子状態解析が行える有用な手法であるが、軟X線が大気や水に強く吸収されるため、液体試料への適用は困難であった。我々は透過型液体セルを用いた液体層の精密厚さ制御法を独自に考案することで、液体試料のXAS測定を行うと共に、溶液中の触媒反応や電気化学反応などのオペランドXAS計測を実現してきた。一方、溶液中の化学反応はバルクの液体ではなく、固体と液体の接する固液界面で進行することが知られている。そこで本課題では、溶液中の様々な化学反応のメカニズムを調べるために、バルク液体と固液界面の同時オペランドXAS計測法を開発することを目標とする。軟X線の透過吸収を測定する透過法は、バルクの液体の電子状態を反映するのに対して、軟X線照射後の触媒表面や電極のドレイン電流を測定する電子収量法は、固液界面の電子状態を調べることができる。透過法と電子収量法の同時XAS測定により、固液界面が重要な役割を果たす、触媒反応と電気化学反応の反応メカニズムを明らかにする。レーザーと放射光を同期した時間分解XAS法により、光励起による様々な触媒反応や生化学反応の機構を調べる。光化学系IIタンパク質などの膜タンパク質は、脂質二重膜と共に窒化シリコン膜に担持することで、膜タンパク質が機能を発現した状態でのオペランドXAS計測が行える。偏光スイッチングを用いた軟X線自然円二色性から、生体試料などのキラル解析を行う。マイクロ流路の顕微XAS測定から、高効率な化学反応のオペランド計測を行う。以上の研究目標を実現するために、本課題では異なる研究分野を背景とする多くの研究者が集合することで、固液界面上で進行する様々な化学反応をオペランドXAS計測により明らかにする、新たな研究領域を創出する。

成果

  • 論文等(KEK放射光共同利用実験研究成果データベースの画面が別タブで開きます)
  • PF Activity Report

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