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月例研究報告 3月

1. 共同利用状況など

【 J-PARC一般利用課題(2013A)】

 中性子共同利用実験審査委員会により、40件の課題の採択が承認された。

【 J-PARC実験 】

 300 kWで極めて安定に中性子ビームが供給されている。

【 J-PARC/MLF 中性子国際評価委員会 】

 2/14-2/15に、東海において開催され、

【 MLF school 】

 アジアオセアニア中性子科学会主催による中性子学校が、6/17-6/21に東海において開催される予定。(http://j-parc.jp/researcher/MatLife/en/meetings/6thAONSAschool/index.html

 

(1) 構造科学グループ

【Z-Code】

 Z-Codeの講習会を3月11,12日に実施する。講習会では、リートベルト解析ソフトウェアZ-Rietveld,マキシマムエントロピー法の計算ソフトウェアZ-MEMや視覚化ソフトZ-3Dなどについて、実習を含めた解説を行う。SuperHRPD(BL08)、SPICA(BL09)、PLANET(BL11)、TAKUMI(BL19)、iMATERIA(BL20)、NOVA(BL21)を利用したユーザーにZ-RietveldのMac OS X版(ver.0.9.40)とWindows版(ver.0.9.37)を配布している。

【BL08(SuperHRPD)超高分解能粉末回折装置】

 ガンドルフィカメラは、斜めに取付けられた試料を自転と公転させる機構を持ち、単結晶試料や配向性の強い試料から粉末回折パターンを測定する装置である。新学術領域「シンクロ型LPSO構造の材料科学」において、材料構造解析の有用な手段としてガンドルフィカメラを用いた中性子回折測定が計画しており、そのテスト実験が行い、一方向性共晶複合材料を用いた測定では、配向性が少ない回折パターンを得ることができた。

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図1. ガンドルフィカメラを用いた測定結果。ガンドルフィカメラ停止中は、配向性の強い特定のピークしか現れない(青線)。

【BL09(SPICA)特殊環境中性子回折装置】

 化学実験室と居室を分離し化学実験室を拡張するため、夏から秋の長期シャットダウン時に蓄電池棟を増築する。概念設計は終了し、現在実施設計を開始している。

 

(2) ソフトマターグループ

【BL16(SOFIA)ソフト界面解析装置】

成果報告

 新たに以下の成果発表に関する報告を受けた。

M. Inutsuka, N. L. Yamada, K. Ito, and H. Yokoyama,
"High Density Polymer Brush Spontaneously Formed by the Segregation of Amphiphilic Diblock Copolymers to the Polymer/Water Interface", Macro Lett. 2, 265 (2013).

課題実施状況

 SOFIA反射率計はRun#46, 47(2/8-3/10)でプロジェクト課題3件と一般課題4件を実施した。
また、先月納品された液体表面に単分子膜を作成する装置Langmuirトラフをビームラインに据え付けて動作確認を行い、無事動作することを確認した。また、標準試料として重水表面に浮かべたステアリン酸の単分子膜についてテスト実験を行ったが、ステアリン酸の屈折率が空気とほぼ同等であったため有意なシグナルを観測することはできなかった。実験条件を検討した上で、3月に再測定を行う予定である。

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(3) 量子物性グループ

【BL23(POLANO)偏極中性子散乱装置】

 KEK物構研と東北大学金研は共同でMLFのBL23に偏極中性子散乱装置POLANOの建設を計画していて、KEKと東北大学はPOLANOの建設費を平成25年度に概算要求していたが、両機関において、建設費が平成24年度補正予算で認められた。これにより、POLANOの建設が本格的に開始した。現在、鋭意、発注作業を開始している。KEKではこれらに先行して、平成24年度に遮蔽体や機器等の製作を部分的にすすめていて、2月13日に受注会社工場で遮蔽体の製作状況を確認した。図1は、コンクリートブロックの製作のため、鉄材で製缶したものを組み上げたものである。現在、コンクリートの打設作業がすすめられていて、3月22日に受注会社工場で完成検査を予定している。

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図2. POLANOのコンクリート遮蔽体の製作状況。左は、ビームライン部分に設置されるコンクリートブロックのコンクリート打設前の製缶を組み上げたところ。右は、コンクリートブロック製缶のひとつで、これから、この中にコンクリートが打設される。棒状のものは、コンクリート打設後に、吊上げ用アイボルトまたは組み立て用ボルトが挿入されるねじ穴となる。

 

(4) 水素貯蔵基盤研究グループ

【BL21高強度全散乱装置NOVA】

 微小試料測定

 6 GPa、600-800℃で合成される新しい水素化物YLiFeH6の構造チェックをNOVAにおいて実施した。高圧合成が必要なこともあり、作製された試料の大きさは直径800 μm、高さ100-300 μm、重さ約1 mgという微小試料であったが、ブラッグピークが小角検出器バンクを除く全てのバンクで観測された。さらにノイズレベルを下げるためには、試料容器の開発も必要であるが、1 mg程度の微小試料の実験も十分に可能であることが示された。

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図3. NOVA により観測したYLiFeH6の中性子回折プロファイル。試料の重さは約1 mgである。