10/27よりMLF中性子ビーム供給が再開されたが、11月20日に中性子標的容器に不具合が発生したため運転を停止した。現在のところ12月末までの運転休止が決まっているが、予備の中性子標的容器を使うことにより早期の利用運転再開を目指している。
2016A期の一般課題公募が11/9〆切で行われ、前回並の315件の応募があった。これらの課題は1月に予定されている中性子課題審査部会で評価され、2月のMLF施設利用委員会及び物構研運営会議で採否が決定される。
He3ガス循環型の冷凍機を導入し、試料を0.6Kまで冷却できることを確認した。この冷凍機には、低温を達成するために、試料まわりにアルミ製の多重の輻射シールドがあり、これによる散乱が、強大なバックグラウンドノイズになっている。図1(a)のリング状の散乱パターンは、このアルミからの散乱であり、試料からのブラッグ散乱と同程度あるいはそれ以上の散乱強度になっている。このバックグラウンドノイズを低減するために、オシレーティングラジアルコリメーターを設置して動作させたところ、図1(b)に示すようにアルミからの散乱が激減し、明瞭なブラッグ散乱を検出した。このように、オシレーティングラジアルコリメーターを用いてバックグラウンドノイズの低減を確認できたので、これを用いて非弾性散乱実験を行った。
図1. オシレーティングラジアルコリメーター (a)無し (b)有り。
夏期停止期間に行われた大型建設工事は終了し、現在軽微な工事を進めている。併せて、研究会などの活動をおこなっている。
11月2日 POLANO安全教育
11月12-13日 金研ワークショップ「中性子プラットフォームによる物質材料科学の進展」
12月8日 BL23 S型課題研究会今後も中性子科学会年会や日韓中性子ワークショップなどで、POLANOの講演を予定している。
論文
BL16 SOFIAを用いた研究について以下の論文が受理された。
試料環境整備
昨年度より始まった加速器出力の増強により、300 kWから500 kWへと出力が上昇し、通常1時間程度であった測定時間が約半分にまで短縮された。昨年度末、SOFIAでは試料交換機構を増強するために、高さ方向に試料ステージの数を増やすことにより、一度に設置できる試料の数を大幅に増加させた。今回、このステージをさらに改良し、設置できる試料ステージの数を増加させることに成功した。例えば、直径2インチの基板であれば最大で28枚同時に設置することが可能である。
また、これまでに使用していた試料を室温付近(10~70℃)で温度制御するための低温用試料ステージに改良を加え、運用を開始した。新しい試料ステージは内部に設置された2つの銅製試料ステージをペルチェ素子で独立に温調出来る上、容器内部はガスフローが可能となっている。既存のステージは全体を循環水で温度制御していたため低温で結露するという問題があったが、今回作成した装置は窒素をフローさせた状態で銅製試料ステージを冷却することによって結露を防ぐことができる。また、銅製試料ステージは独立に温度制御が可能であるため、それぞれのステージについて温調と測定を交互に行うことで効率的な測定が可能となる。
図2. (左)改良を加えたサンプルステージと(右)ペルチェ駆動による低温用温調ステージ。
研究会
11月19日、S型課題研究会を名古屋市 名古屋大学東山キャンパスにて開催した。
論文
以下の論文が Progress of Theoretical and Experimental Physics (PTEP)に受理された。
詳細は追って報告する。
研究会
12月1日、S05、S10型課題研究会をつくばキャンパスにて開催した。
論文
Z-Rietveldはhttps://z-code.kek.jp/zrg/から入手でき、Mac版0.9.44.2(Mac OS 10.8 - 10.10)、Windows版0.9.44.1 (Windows vista, 7, 8)を配布中。Mac版0.9.44.3の配布を準備中。磁気構造解析については非整合磁気構造にも対応した解析コードがほぼ完成した。今後、GUI版を製作していく計画である。
研究会
11月24日に東海1号館にて、S型課題研究会を行い、これまでの成果と今後の研究計画について議論した。
試料環境整備
トップローディング型ヘリウムガス循環式冷凍機システムを整備して、5〜700 Kの温度制御試験を実施し、制御温度と試料容器内温度との差を調べた。また、低温から高温への連続制御による中性子散乱実験を行った。