KENS 中性子科学研究系

KEK

月例研究報告 2月

1. 共同利用状況など

【MLF運転再開】

 2月16日よりMLFでの中性子ビーム供給が再開され、2月20日よりMLFの利用運転を低出力ビーム (200 kW程度) にて再開した。3月7日まで計画通りに稼働した。1週間の冷中性子源のメンテナンスを経て、3月14日から再開する。

 

2. 研究グループの活動状況

(1) 量子物性グループ

【 BL12高分解能チョッパー分光器 HRC 】

 学会発表

 2nd International Workshop on Brillouin Scattering - THz excitations in disordered condensed matter and in biological and magnetic systems - (University of Rome "Sapienza", 2016.2.2-7) に出席し、以下の3件の研究発表を行った。

  •  S. Itoh, "Neutron Brillouin scattering experiments on HRC and spin waves in metallic ferromagnet SrRuO3"
  •  K. Ono, "Observation of spin-wave dispersion in Nd-Fe-B magnets using neutron Brillouin scattering"
  •  Y. Endoh, "Importance of neutron Brillouin scattering for the magnetic studies"

 

【 BL23偏極中性子散乱装置POLANO 】

 POLANOではPPS接続を行い、上位PPS盤までの設置とビームシャッター試験動作を含む自主検査を終了した。また、遮蔽扉やハッチなどに関するPPSローカル部の正常動作確認も終了し、今後担当者による検査および施設管理責任者による検査を経て、いよいよPPS運用に入る。
 加えて、位置敏感型中性子検出器(PSD)の設置を行った。POLANOと同型のチョッパー型(直接配置型)の分光器である四季、HRC、およびアマテラスは長尺PSDを採用しているが、POLANOでは検極子の見込み角や検出器の入手困難性、加えて構造上の要請など全てを加味して、有効長600 mmのPSDを導入している。取り付けの様子を下図(左)に示す。今回取り付けた検出器群は下図(右)の中黒い部分で、水平面内は予定散乱角おおよそ-20˚~120˚全て設置が完了した。

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図1. 設置した検出器の写真(左)と取り付け箇所(右)。

 

(2) ソフトマターグループ

【 BL16ソフト界面解析装置 SOFIA 】

 ペルチェ素子による温度制御機構の実装

 BL16で11月に導入した新しい試料ステージは、容器全体を温調する循環水に加えて、内部に設置された2つの銅製試料ステージが設置してあり、各ステージはペルチェ素子で独立に温調可能となっている。ペルチェ素子の動作に伴う廃熱は循環水で除去できる構造となっており、0~100℃の範囲でステージ温度を変えられることを確認している。容器内部はガスフローが可能となっており、窒素等をフローさせた状態で銅製試料ステージを冷却することによって結露を防ぐことができる。また、加湿用のバブラーを用いて内気循環させる湿度制御機構を接続できるようになっており、内部の温湿度計により湿度をモニターすることが可能である。
 2月のビーム運転再開前、このステージのペルチェ素子を装置制御プログラムからリモートで温調出来るよう変更を加えた。下図はプログラムの動作テストを行った際の画面と温度履歴で、10分弱で目的の温度に到達することを確認している。また、測定用のコマンドラインに組み込むことにより、測定中に温度変化を行うことも可能であるが、こちらについては今後の課題である。

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図2. 測定プログラムにおけるペルチェステージの温度制御画面。最初に室温からステージの温度を30℃/10℃に設定して温度が安定した後、50℃、15℃、0℃、5℃と設定変更し、温度制御が正常に動作することを確認した。

 

(2) 水素貯蔵基盤研究グループ

【 BL21高強度全散乱装置 NOVA 】

 研究成果

 S. Torigoe, Y. Ishimoto, Y. Aoishi, H. Murakawa, D. Matsumura, K. Yoshii, Y. Yoneda, Y. Nishihata, K. Kodama, K. Tomiyasu, K. Ikeda, H. Nakao, Y. Nogami, N. Ikeda, T. Otomo, N. Hanasaki;
"Observation of all-in type tetrahedral displacements in nonmagnetic pyrochlore niobates", Phys. Rev. B 93 (2016) 85109.

 

 IROHA2対応

 MLFの装置制御ソフトウエアIROHA2を導入した。これまでのIROHAに比べて、IROHA2からの制御対象機器の登録・変更が容易になった。導入にあたり、任意のシーケンスによる自動測定を行い、問題なく完了することを確認した。

 

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図3. IROHA2のデバイス制御サーバー画面で複数のデバイスを制御対象として登録した画面。"Status"のReadyになっているslit1(入射スリット)と40sc(40試料交換機)が制御可能な状態であることを示している。

 

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図4. IROHA2のシーケンス管理サーバーの実行画面で40scにおける試料セット、時間指定によるデータ集積、試料回収を2試料分実行した状態。