J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)では、年明けは、1月12日に利用運転を開始した。1月20日9時に計画通りビーム運転は停止したが、同日夕方、ミュオンターゲットと陽子ビームラインのM2電磁石を冷却している冷却水ポンプが故障し、翌日の運転再開ができなくなった。ビーム運転は1月25日に再開し、共用運転は1月27日に再開した。
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原子核乾板を利用した中性子イメージング(名古屋大学、九州大学、京都大学、KEK)
原子核乾板は非常に高精度な位置分解能を達成できる検出器として原子核素粒子分野で利用されており、近年ではミュオンを利用した原子炉やピラミッドの透過像計測でも知られている。こうした原子核乾板をこれまで中性子分野においては基礎物理実験で利用していたが、今回、中性子イメージング分野に適応しその評価を行なった。
透過像計測試料として、干渉イメージング用に開発された9 μm周期のGd格子スリットおよび、市販の水晶クロックチップを用いた。実験のセットアップを図1に、Gdスリットの像を図2に示す。Gdスリットの透過像から、おおよそ5 μm以下の位置分解能で計測されていることが見て取れる。写真乾板においては放出粒子の飛跡から中性子の反応点を求めることで位置分解能を向上させることができるが、中性子強度を増やしていくと写真乾板上の放出粒子の飛跡が重なっていき、反応点の認識が困難になることが確認された。クロックチップの計測においては、中性子照射量を増やしたことで飛跡解析が困難になったが、飛跡そのものの濃淡により画像を得ることができた。この画像ではクロックチップ内のワイヤーボンディングの様子を確認することができた。今後は解析手法の改良も進め、より大強度での飛跡解析を可能にしていく。
図1. 実験セットアップ。測定試料の下流側にSi基板側から冷中性子を照射している。
図2. 測定された画像の例。ここでは9 μm周期のGd製スリットを通過する中性子を計測している。9 μm周期のGdの影が見えており、5 μm程度以下の位置分解能で計測が行われている。
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