KENS

月例研究報告 4月

1. 研究グループの活動状況

(1) 水素貯蔵基盤研究グループ

【 BL21 高強度全散乱装置 NOVA 】

◆ 研究成果

2種元素の添加で中低温のプロトン伝導度を著しく向上

梅田健成, 齊藤馨, 本田孝志, 八島正知(東京科学大学、高エネルギー加速器研究機構、JPARCセンター)
 

 次世代のクリーンエネルギー社会に向けて、より低い温度(中低温)で作動する高効率な燃料電池や電解セルの実用化が求められています。その鍵となるのが、水素イオン(プロトン)をスムーズに通す材料の開発です。
 東京科学大学やKEKなどの共同研究グループは、J-PARCのNOVA(BL21)を用いた中性子散乱実験などから、新しいセラミック材料の構造を詳細に調べました。その結果、2種類の特定の元素(6価のドナー元素)を同時に添加するという独自の材料設計を行うことで、高いプロトン濃度と高速な移動を同時に実現できることを突き止めました。 この新材料は、中低温におけるプロトン伝導度の世界最高値を更新しただけでなく、高い化学的安定性も兼ね備えており、燃料電池などの実用化を大きく前進させる基盤技術として期待されます。

[1] Kensei Umeda, Kei Saito, Takashi Honda, Masatomo Yashima, Angew. Chem.-Int. Edit. 65 e21773 (2026). DOI: 10.1002/anie.202521773.