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3. 研究成果 3.2 標準理論の精密検証とその予言する新しい現象の発見 3.2.2 と光子の干渉の測定とトップクォーク存在の間接的証明 前述のように、トリスタンのエネルギー領域における電子・陽電子対消滅反応では、光 子交換過程と交換過程の間の量子力学的な干渉効果(-干渉)が大 きく観測される。この際立った特徴は、クォークやレプトン対生成の角度分布の非対称 度(図25)に見えている。これは、ベクトル型の結合を持つ光子とほぼ軸ベクトル型のの結合との干渉が強く現れるために起こる現象で、この振る舞いを調べることは標準理論の検証であると同時に、素粒子の電弱相互作用における量子数を決める手段となる。トリスタンでは図25に示すように、非対称性が最大に近いエネルギー領域で標準理論の予言が正しいことを証明した。 この測定に関して注目すべきことは、この測定の結果、ボトムクォークの弱アイソスピ ンと呼ばれる量子数が1/2であることが明確になったという点である。これはボトムクォークが第3世代のクォークとして予想された通りのものであったことを意味し、同時にパートナーとしてのトップクォークが存在しなければならないことを実験的に明らかにしたと言える。その後1995年に、トップクォークは当初の予想よりはるかに重い質量を持つクォークとして、Tevatron における実験で発見された。 Figure 25: ミュー、タウレプトンそしてチャーム、ボトムクォーク対生成過程における前後方非対称度の実験データ |
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