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3. 研究成果 3.2 標準理論の精密検証とその予言する新しい現象の発見 3.2.4 フェルミオンの世代数が3であることの証明 標準理論では、を介した電子・陽電子反応によってニュートリノ()の対生成が起こるが、は測定器で測定することができない。しかしながら、このように生成される粒子が検出不能な場合でも、電子・陽電子衝突時にまず光子を放出するような事象を検出することによって、これらの直接検出不可能な粒子を間接的に検出できる。このような事象は、検出可能な粒子は光子一つだけなので、一光子事象と呼ばれている。 一光子事象の測定で重要なのは、これによって物質粒子(=フェルミオン)の世代の数が測定できる点である。すなわち、 ボソンを介した電子・陽電子消滅過程では、全ての世代のが対等に対生成されるので、一光子事象の全断面積はフェルミオンの世代数に比例しており、この測定値を標準理論の予言と比較することで世代数を求めることができる。これを計数と呼ぶ。第1期のトリスタン実験(VENUS)では、この方法による制限を、90% の信頼度で世代数が 3.9 以下であるというところまで追い詰めることができた。世代数は整数でなければならないので、この結果、フェルミオンの世代数が3であることが確定的となった。世代の数が3であることは標準理論の骨格であり、これを実験的に証明したことの意義は大変大きいと言える。また、その後LEP での計数実験によって、の世代数が 3 であることが疑いなきものとなった。 |
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