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トリスタン計画報告書TOP
 高エネルギー物理学研究所長挨拶
 高エネルギー委員会委員長挨拶
 1. は じ め に
 2. トリスタン計画の概要
 3. 研 究 成 果
 概略
標準理論の精密検証とその予言する新しい現象の発見
 Z0の質量の決定
Z0と光子の干渉の測定とトップクォーク存在の間接的証明
電磁相互作用の結合定数の測定
フェルミオンの世代数が3であることの証明
強い相互作用の結合定数sの測定とそのエネルギー依存性の証明
グルーオンの自己相互作用の証明
クォークジェットとグルーオンジェットの比較
標準理論を越える新しい現象の探索
光子・光子コライダーとして
実験技術の開発
 4. トリスタンと加速器科学
 5. 周辺分野との関わり
 6. ま と め
 List of Figures
 List of Tables
 グラビア写真集
 
3. 研究成果

3.2 標準理論の精密検証とその予言する新しい現象の発見

3.2.7 クォークジェットとグルーオンジェットの比較


量子色力学に基づいた考察によれば、強い相互作用を媒介する粒子であるグルーオン は、クォークと反クォークが対になった状態と等価であるため、そこから発生するジェット(グルーオンジェット)では、クオークから発生するジェット(クオークジェット)に比べて、多重度(ジェットに含まれるハドロンの数)はより大きく(およそ2倍)、従って個々のハドロンの平均エネルギーはより低くなる。トリスタンでは、この予想を実験的に確かめるために、高いルミノシティーを活かした豊富なデータから、図28(b)に示したような事象が数多く選別され、様々な角度から分析が行われた。その高い衝突エネルギーのために、個々のジェットがきちんと分離しており、ジェット現象を研究するのに好適である。観測される3つのジェットのうちの一つが、必ずグルーオンから生成されたものである事を利用することで、不定性の少ない分析が可能となった。これらの分析の結果から、グルーオンジェットでは、クオークジェットと比べて、多重度がより高く、ハドロンの平均エネルギーがより低いことが確かめられた。しかしながらその程度は、ナイーブな量子色力学的予想よりは小さく、ジェット生成を一種のシャワーとして記述する現象論的モデルにより予想されるものと、よい一致をすることが示された。

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