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3. 研究成果 3.2 標準理論の精密検証とその予言する新しい現象の発見 3.2.7 クォークジェットとグルーオンジェットの比較 量子色力学に基づいた考察によれば、強い相互作用を媒介する粒子であるグルーオン は、クォークと反クォークが対になった状態と等価であるため、そこから発生するジェット(グルーオンジェット)では、クオークから発生するジェット(クオークジェット)に比べて、多重度(ジェットに含まれるハドロンの数)はより大きく(およそ2倍)、従って個々のハドロンの平均エネルギーはより低くなる。トリスタンでは、この予想を実験的に確かめるために、高いルミノシティーを活かした豊富なデータから、図28(b)に示したような事象が数多く選別され、様々な角度から分析が行われた。その高い衝突エネルギーのために、個々のジェットがきちんと分離しており、ジェット現象を研究するのに好適である。観測される3つのジェットのうちの一つが、必ずグルーオンから生成されたものである事を利用することで、不定性の少ない分析が可能となった。これらの分析の結果から、グルーオンジェットでは、クオークジェットと比べて、多重度がより高く、ハドロンの平均エネルギーがより低いことが確かめられた。しかしながらその程度は、ナイーブな量子色力学的予想よりは小さく、ジェット生成を一種のシャワーとして記述する現象論的モデルにより予想されるものと、よい一致をすることが示された。 |
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