物質中の電子は電荷やスピンなど様々な自由度をもち、環境が揃うと複数の自由度が同時に秩序化することあります。そのような状態が実現すると、磁場や電場などの外部からの刺激によって、まったく新しい応答が現れたりします。例えば、電気双極子秩序とスピン秩序が同時におきるような電気磁気 多重秩序系(マルチフェロイクス)では、本来、磁場で反転するはずの磁化を、電場によっても反転させられることなどが実証されいます。電子の多重 強秩序状態を利用して、あらたな電子状態の制御手法を開拓することは、電子デバイスなどの応用に向けてとても重要な概念になります。本公演では、 最近の進展として、基板による負の圧力効果によって現れた新しい電子秩序状態や、電気磁気多重秩序系において観測したX線照射による強誘電性分極 の制御について紹介します。