2GeO4におけるマルチフェロイック特性 | KEK IMSS">
オリビン型遷移金属酸化物A2BO4(Pnma; 斜方晶)は、Aサイトに配置し た遷移金属からなる頂点共有した三角形がb軸方向に連なる1次元鎖的な構造を有 している。近年我々は、オリビン型マンガン酸化物Mn2GeO4が逐次的な磁気転移 (TN1=47K、TN2=17K、TN3=5.5K)を示し、さらにTN3以下の最低温相において弱 強磁性かつ強誘電性(すなわちマルチフェロイック特性)を示すことを発見した [1, 2]。このマルチフェロイック特性の起源解明のため中性子線回折実験を行っ た結果、最低温相における磁気構造がらせん成分及び強磁性成分を共に包含する ものであることが明らかとなり、この多成分磁気構造が同物質におけるマルチ フェロイック特性の起源に関連していることが示唆されている。本セミナーで は、これらのMn2GeO4におけるマルチフェロイック特性および関連する磁気構造 に関して紹介する。また、最近行った偏極中性子線散乱実験、高圧下での中性子 線散乱実験及び物性測定の結果[3]をもとに、同物質におけるマルチフェロイッ ク特性に対する電場磁場冷却効果及び圧力印加効果についても議論する。
[1] J. S. White, T. Honda, K. Kimura, T. Kimura, Ch. Niedermayer, O. Zaharko, A. Poole, B. Roessli, and M. Kenzelmann, Phys. Rev. Lett. 108, 077204 (2012).
[2] T. Honda, Y. Ishiguro, H. Nakamura, Y. Wakabayashi, and T. Kimura, J. Phys. Soc. Jpn. 81, 103703 (2012).
[3] T. Honda et al., in preparation.