アルキル鎖をカウンターイオンとするいわゆる擬1次元臭素架橋パラジウム錯体においては低温相がモット絶縁体、高温相が 電荷密度波(CDW)状態となって いるが、最近、光で前者から後者へのマクロスコピックな転移、すなわち、光誘起相転移が近赤外ポンプ・プローブ法により発見された。本発表ではその概要を 講演者の理論計算も交えてお話しし、さらに、上記のような分光学的検出の枠を超えて時間分解X線回折で直接に光 誘起 CDW秩序を検出する実験をご提案したい。なお、そこでのポイントは、そのような光誘起CDWの寿命が比較的長く、励起後500psで少なく とも系全体の15%程度の割合で残存していると言うことである。従って、PFにおいても原理的には検出可能と考えられるので、さらに詰めた技術的 課題などをご相談させて頂きたい。