ここでいう電子顕微鏡とは、「透過型電子顕微鏡/Transmission Electron Microscope (TEM)」のことを指します。本セミナーでは、TEMを使用して細胞の中あるいは細胞間の構造から分子の構造までを可視化する方法を紹介します。
2008年以来、TEM-特にクライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)-を用いて、タンパク質の近原子分解能解析がなされるようになり、遂に昨年 2013年の12月には、小さなチャネルタンパク質の近原子分解能解析がUCSFのグループによってなされ、電子顕微鏡の発明以来といっても過言でないほどの出来事となりました。この成功の立役者は、電子直接検出器であり、特異な撮影方法であり、試料の調製法であったと言われています。私 たちの研究所、阪大・蛋白質研究所にも同型の検出器が導入されました。このような高分解能解析を実現するための最新のハードウェアの紹介から、 CEMOVISと呼ばれる、非晶質に凍結した細胞をそのまま薄切して観察する方法、我々が取り組んでいるコンフォメーション変化を解析するための 技術等を実例を交えて紹介します。