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KEK

#41 電子系の隠れた秩序:NMRスペクトルの読み解き方

物構研コロキウム
  • 日時:3/1(火)16時00分~
  • 場所:オンライン、外部公開可
  • 講演者:瀧川 仁 氏 (東京大学 名誉教授)
  • 題名:電子系の隠れた秩序:NMRスペクトルの読み解き方
  • 要旨:
    核磁気共鳴法(NMR)は物質の磁性の微視的なプローブとして、半世紀以上にわたり磁気構造の決定や磁気励起の研究に貢献してきた。実空間における局所的なプローブである原子核スピンを利用するNMRは、波数空間における干渉性を利用するX線や中性子の回折実験とは相補的な手段を提供する。近年では、強磁性や反強磁性などの単純な磁気構造に加えて、量子スピン系や強相関電子系におけるvalence-bond-solid状態、電荷・軌道秩序、ネマティック状態、(拡張)多極子秩序など、多彩な秩序状態やそれらの揺らぎの検証にも威力を発揮している。これらの秩序状態の中には、バルクな測定では直接的な証拠を得ることが困難な所謂「隠れた秩序」と呼ばれるものも多く含まれている。一般に単結晶試料のNMRにおいて、電子系の相転移に伴う対称性の破れは共鳴線の分裂として観測される。本講演では、単結晶NMRスペクトルの外部磁場方位に対する依存性を詳細に測定し、その結果を原子核サイトの点群対称性に基づいて解析することによって、どのようにして隠れた秩序変数を決定することができるか、いくつかの実例を示しながら紹介したい。
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