No.16 2016年2月発行
がん。長年日本人の死因トップに位置し、今やがんになる確率は日本人の2人に1人とも言われている。がんに侵され、みるみる細くなっていく人の姿を目にしたことのある人もいるだろう。その理由は様々だが、正常な生命活動に必要なタンパク質の生産より、がん細胞の増殖にエネルギーが使われてしまうためと考えられている。
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1766年、英国のヘンリー・キャベンディッシュが人類で初めて水素を取り出すことに成功した。金属片と強酸を反応させ、「燃える気体(※水素という名は1783年に命名)」を単離、 その気体は空気よりもずっと軽く、激しく燃えるという性質を調べた。
2016年、今年は水素の発見から250年になる。
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東京大学物性研究所の近藤猛准教授、中辻知准教授、辛埴教授らの研究グループは、トポロジカル絶縁体にも、ワイル半金属にも成りうるイリジウム酸化物を発見した。
研究グループは、既存のトポロジカル絶縁体やワイル半金属と、電子同士の強い相互作用(強相関)を組み合わせることで、新機能を発現する物質開発を行っている。
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東京大学大学院の堀尾眞史大学院生、藤森淳教授、上智大学理工学部の足立匡准教授、東北大学大学院の小池洋二教授らの研究グループは、KEKのPhoton Factory及び広島大学のHiSORを用いて、反強磁性の影響のない高温超伝導状態を世界で初めて観測し、その超伝導状態が従来考えられていたよりも広い電子濃度領域で、しかもより高温まで実現されていることを解明した。
本研究は、超伝導と反強磁性の関係を最重要視してきたこれまでの高温超伝導の物理の根幹部分に見直しを迫る重要な成果といえる。
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自然科学研究機構分子科学研究所の上村洋平助教、脇坂祐輝特別訪問研究員、横山利彦教授、北海道大学触媒科学研究所の高草木達准教授、朝倉清高教授、大谷文章教授、城戸大貴氏、 KEK物質構造科学研究所の足立伸一教授、野澤俊介准教授、丹羽尉博技師、高輝度光科学研究センターの片山哲夫博士研究員、理化学研究所の矢橋牧名グループディレクター、フランス・レンヌ大学の畑田圭介マーキュリーフェローシップらの研究グループは、可視光に応答する酸化タングステン光触媒の光励起状態の構造を、 超高速時間分解X線吸収分光法により追跡し、光励起状態でタングステン周囲の局所構造が変化していく様子を観測することに成功した。 光触媒を用いて水から水素を製造する技術は再生可能エネルギー開発における究極的な目標のひとつであり、反応過程の解明を通じた光触媒機能の革新的向上が期待されている。
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大阪大学大学院 酒井英明准教授、東京大学大学院 石渡晋太郎准教授(JSTさきがけ研究者兼任)、同研究科 増田英俊氏らの研究グループは、ディラック電子を有するビスマス(83Bi)の二次元層とユーロピウム(63Eu)等からなる磁性ブロック層が積層した磁性体の合成に成功した。 この特性を東京大学物性研究所 徳永将史准教授、東京大学大学院 山崎裕一特任講師(理化学研究所創発物性科学研究センター兼任)、東北大学金属材料研究所 塚﨑敦教授らと共同で調べ、 ディラック電子の超高速伝導が磁気状態に依存して劇的に変化することを発見した。さらにこの効果を利用して、ディラック電子を電気伝導層であるビスマス層内に閉じ込めることで、 ディラック電子層が積層したバルクの磁性体において初めて、ホール抵抗値が離散的となる半整数量子ホール効果を実現した。
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J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)にて建設を進めてきた低速ミュオンビームライン(Sライン、Surface Muon Beamline)にて、ミュオンビームの取り出しに成功、平均寿命測定からミュオンであることが確認された。
MLFのミュオン科学実験施設(MUSE)低速ミュオンビームラインSラインは、ミュオンスピン緩和(μSR)を用いてバルク物性を測定するためのビームライン。2013年度末から建設開始されたS1実験エリアでは、2015年10月末よりミュオンビームを取り出すための調整を行っていた。
その結果、ミュオン生成標的表面付近から取り出される運動量のそろった低速(表面)ミュオンビームをS1実験エリアに引き出すことに成功した。
J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)にあるBL12・HRC(高分解能チョッパー分光器)では、夏の運転停止期間に装置、ソフトウェアのアップグレードを行った。
3Heガス循環型の冷凍機を導入し、試料を0.6Kまで冷却できることを確認した。低温達成のため、この冷凍機には試料まわりにアルミ製の多重の輻射シールドがあり、これによる散乱が、強大なバックグラウンドノイズを発生してしまう(図左の円弧状の散乱パターン)。このノイズは、試料からのブラッグ散乱と同程度か、それ以上の強度になりデータ解析の妨げとなってしまう。 そのためオシレーティングラジアルコリメータを設置、動作させて、アルミからの散乱を遮蔽したところ、図右に示すようにノイズが激減し、試料からのブラッグ散乱が明瞭になった。
女子高校生に科学に興味を抱いてもらえるよう、科学実験、分野の第一線で活躍する女性研究者による講義、大型実験施設での研究者とのコミュニケーションを交えた施設見学、女子大学院生との懇談会などのプログラム(※受付終了しました)
期間中、KEKコミュニケーションプラザ(常設展示)の公開、および22(金)23(土)にはBファクトリー実験施設・フォトンファクトリーにて実験施設見学ツアーを行います。
サイエンスカフェ「水素を深読み!」
4/3(日)多摩六都科学館
4/17(日)蒲郡市生命の海科学館
4/23(土)KEK職員会館 1F
4/24(日)Biviつくば 2F交流サロン
講師:大友 季哉 教授(KEK物質構造科学研究所)
3月15日(火)16(水)、つくば国際会議場(エポカルつくば)にて量子ビームサイエンスフェスタをMLFシンポジウム、PFシンポジウムと合同で開催します。