No.27 2019年2月発行
基礎研究が応用研究に至るまでの障壁を「魔の川」という。 金属であるタングステンに非金属の炭化チタンを少量添加して特別な組織制御を施すことで、その性質が大きく変わる。タングステンの性能を最大限に引き出す術を編み出した研究者と、その類まれな新材料に魅せられた技師の、実用化に向けた奮闘をお伝えする。
昨年、九州大学、KEK物構研などの共同研究により、宇宙線ミュオンによる電子機器のソフトエラーが話題となった。J-PARCMLFのミュオン実験装置MUSED2で正および負ミュオン照射で比較試験を行い、負ミュオンの影響が高いことを確かめたのが、実験を担当した物構研ミュオン科学研究系の反保元伸博士研究員だ。
負ミュオンによる分析法を用いると、歴史的資料など希少な資料も非破壊で分析が可能だ。武田信玄が築いたとされる貨幣制度「甲州金」の金貨「蛭藻金」も、研究対象のひとつ。 昨年発足した蛭藻金分析プロジェクトをご紹介する。