No.4 2013年2月発行
多くの人を虜にする、チョコレート。甘くて、ほろ苦くて、なめらかな口どけとともに口いっぱいに広がるカカオの香り。これらが実は食品物理学と結晶学という物理の賜物であることを知っているだろうか?
せっかくの美味しいチョコレート、気がついたら表面に白い粉がふいていた、なんてことは無いだろうか?これはブルームと呼ばれる、チョコレートに含まれる油脂が表面に出て固まってしまった状態(図1)。食べてみると、、、ボソボソとして、美味しくない。同じチョコレートなのに、こうも違うものかと思うほど、別物になってしまう。
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物を詳しく見ようとするとき、どうするだろうか?
・・・明るくする?ルーペで拡大する?
物質の構造を詳しく見るには、いろいろな手法があるが、J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)では陽子加速器から作りだされたミュー粒子(ミュオン)のビームを利用して観測している。「より詳しく見たい」という想いが、ミュー粒子の強度をどんどん向上させ、今では世界一にまでなった。それはまさしく、明るい光源を手に入れたようなもの。しかし、観測するにはこれだけでは不十分。受け取る側の目も良くなければ、どんなに良い光源を手に入れても、データを得ることはできない。そこで開発されたのが、検出器「カリオペKALLIOPE(KEK Advanced Linear and Logic board Integrated Optical detector for Positron and Electron)」なのだ。
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産業技術総合研究所の計測フロンティア研究部門 大久保 雅隆 研究部門長らは、KEK物質構造科学研究所、株式会社イオンテクノセンターと共同で、超伝導検出器を搭載したX線吸収微細構造分光装置(SC-XAFS)を開発、ワイドギャップ半導体である炭化ケイ素(SiC)の機能発現に必要な、イオン注入された窒素(N)ドーパント(微量不純物原子)の微細構造解析に成功した。
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JST課題達成型基礎研究の一環として、産業技術総合研究所フレキシブルエレクトロニクス研究センターの堀内 佐智雄研究チーム長、東京大学 大学院工学系研究科 賀川 史敬講師らは、生体物質であるイミダゾール系化合物が、電子材料として期待される強誘電性や反強誘電性といった分極反転機能を持つことを発見した。
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東京大学物性研究所の森 初果教授らのグループは、世界最高の室温伝導度(19 S/cm)を持ち、約1万気圧というこれまでで最低の圧力下で金属状態となる純有機単成分導体の開発に成功した。
この有機物質は、強い水素結合で結ばれた高い対称性の分子ユニットが、自己凝集して2次元伝導層を形成している新しいタイプの高伝導体であることを、KEK物質構造科学研究所の村上 洋一教授、熊井 玲児教授のグループ、総合科学研究機構の中尾 朗子副主任研究員との共同研究で解明した。
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2012年11月7日、J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)のミュオン施設(MUSE:ミューズ)にて、世界最高となる1パルスあたりのミュオン強度2,500,000個(陽子ビーム強度212kW)を達成した。これは2010年に同施設で達成した1パルスあたり72,000個(同120kW)、180,000個(同300kW)を超えて、世界でも群を抜いた強度となる。
今回の成果は、KEK物質構造科学研究所の三宅康博教授らのMUSEグループが開発した「常伝導無機絶縁捕獲ソレノイド電磁石」、「超伝導輸送湾曲ソレノイド電磁石」、及び「超伝導軸収束電磁石系」という軸収束系の電磁石だけで構成することにより、ミュオン生成ターゲットで発生したミュオンの高効率での捕獲、輸送を実現したもの。
今後、高強度のミュオンを超低速化し、新しい三次元イメージングを可能とする「超低速ミュオン顕微鏡」の実現、標準模型を超える新しい物理法則の存在を示唆するミュオニウムの超微細分裂やミュオンの異常磁気モーメント(g-2)の精密測定など、基礎物理研究につなげていく。
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MLFの中性子ビームラインSOFIA(ソフィア)に、液体表面に単分子膜を作る装置「Langmuirトラフ」が導入された。SOFIAは中性子の反射率を利用して、物質界面に形成されたナノからマイクロメートルの非常に微細な構造を観測する装置。Langmuirトラフの導入により、本格的な液体界面などの測定が可能になった。
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MLFの中性子基礎物理ビームライン NOP(ノップ)の三分岐の一つ、非偏極ビームブランチに、中性子強度増強のため長さ4.2 mのスーパーミラーガイド管を増設した。これにより、波長が3 nmより短い極冷中性子で約5倍、3 nm以上では約25倍増加していることが確認された。
>>詳しくはこちら(中性子科学研究系 月例研究報告 9月)
cERL運転開始の年を迎え、建設が大詰めを迎えている。昨年末には、主加速部超伝導空洞の大電力試験を行なわれた。クライオモジュールが問題なく2Kまで冷却できることを確認し、2Kにてチューナー、カプラー、HOMダンパーなど周辺機器の動作が確認された。その後、RFパワーを導入し、2空洞とも16MV以上のCW加速電圧印加も確認された。この大電力試験で明らかとなった問題点は今後の開発にフィードバックし、2013年後半のcERLの周回運転時に再冷却を行う予定である。原子力機構との共同開発を進めてきた高輝度電子銃は、昨年秋にERL開発棟に移設され、4月の電子ビーム試験に向けて動作確認を行っている。今後、2月上旬に前段加速器超伝導空洞、およびバンチャー空洞の大電力試験を行った後、3月にインターロックシステムの最終点検、前段加速空洞の冷却を開始し、4月の電子ビーム運転を目指して関係者一同一丸となって進めている。
>>詳しくはこちら(ERLトピックス)
KEK を含む、全国の大学共同利用機関が日々行っている最先端の研究を紹介します。
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女子高校生に科学に興味を抱いてもらえるよう、科学実験、分野の第一線で活躍する女性研究者による講義、大型実験施設での研究者とのコミュニケーションを交えた施設見学、女子大学院生との懇談会などのプログラム。(※受付終了しました)
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平成25 年1 月1 日より、構造生物学研究センター長に千田 俊哉氏を迎え、以下の新体制となりました。
今年度、これまでは別途行っていた物構研シンポジウムと第30回PF シンポジウムを統合し、PF・KENS・MSLシンポジウムを合同で開催することになりました。
また13日(水)には、CMRC全体会議、および西川シンポジウムが開催されます。