No.6 2013年8月発行
資源問題解決の決定打となる希少資源・不足資源代替材料革新技術の研究開発として始まった「元素戦略プロジェクト」は、平成24年度から<研究拠点形成型>として理論・材料創製・解析評価が三位一体となって進められている。この研究代表者である細野教授に、物質科学研究について伺った。
山田:僕はね、この本(「透明金属が拓く驚異の世界」細野秀雄・神谷利夫著、サイエンス・アイ新書)がきっかけで、細野先生を知り始めたんです。むちゃくちゃ面白いなと思って。で、この透明金属っていうのに、僕はすごく興味があったんですよ。
細野:この中で実用になったのがIGZOなんですよ。
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BL-2は、フォトンファクトリーの創設時から、挿入光源(アンジュレーター)による高輝度の軟X線を使用できるビームラインとして、さまざまな研究に利用されてきた。
現在、株式会社日立製作所との共同研究により、このビームラインのグレードアップが行われている。このビームラインの特徴は、長い直線部に2台のアンジュレーターをタンデムに設置することにより広いエネルギー領域が利用できることで、軽元素から希土類まで幅広い元素の元素選択的な分光実験が可能になる。リチウムイオン電池などのエネルギー変換材料や、ユビキタス元素(ありふれた元素)による機能性材料などの研究を推進する。
前号の物構研ニュース「フォトンファクトリーの春休み」で、旧ビームラインの撤去と基礎工事の様子をご紹介したBL-15に、この夏新しいビームラインが建設されている。
光源加速器には、このビームラインに高輝度の光を供給する光源となる新しい短周期アンジュレーターが設置された。
また、実験ホールには、実験ハッチが建設され、その中に実験装置が順次設置されていく予定である。秋からは、XAFS法と小角散乱法という2つの手法で1つの材料を複合的に調べるビームラインの利用が可能になり、ナノテクノロジー材料やソフトマター材料などの、空間的に不均一な組成を持つ材料の研究が推進される。
東京大学大学院工学系研究科の賀川史敬 講師、大学院生 佐藤拓朗氏、十倉好紀 教授らの研究グループは、最先端研究開発支援プログラム(FIRST) 事業の一環として、三角格子を持つ層状有機化合物θ -(BEDT-TTF)2RbZn(SCN)4 ( 以下θ-RbZn ) を急冷すると電子がガラス状態を形成することを発見した。
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大阪大学大学院基礎工学研究科の若林裕助准教授、東京大学物性研究所 中辻知准教授を中心とする、高輝度光科学研究センター、理化学研究所(SPring-8) との共同研究グループは、蜂の巣構造を基本骨格とする銅酸化物( 図) において、電子の持つ自由度であるスピンと軌道が量子力学的に混ざった状態に特徴的な構造の観測に成功した。
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東京大学大学院の藤岡 淳 助教、十倉 好紀 教授らの研究グループは、KEK 物構研の山崎 裕一 助教、中尾 裕則 准教授、熊井 玲児 教授、村上 洋一 教授らと共同で、本来非磁性である強相関電子系LaCoO3を薄膜化して歪みを加えることにより、電子のスピン・軌道が秩序し自発磁化が生じる事を明らかにした。
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JAEA 先端基礎研究センターの松本吉弘任期付研究員、境誠司グループリーダー、千葉大学大学院融合科学研究科の小出明広氏、藤川高志教授、KEK 物構研の雨宮健太教授らは、グラフェンと磁性金属( ニッケル) 薄膜の接合体について、界面の近傍で生じる電子スピンの特異な配列状態の存在を明らかにした。
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JAEA 先端基礎研究センターの伊藤 孝 研究員、髭本 亘 研究主幹とKEK 物構研の下村 浩一郎 准教授、幸田 章宏 研究機関講師、およびJ-PARC センターの研究グループは、代表的なセラミックコンデンサ材料であるチタン酸バリウム(BaTiO3)に混入した微量の水素不純物が絶縁劣化を引き起こすメカニズムを明らかにした。
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