News@KEK

生まれ変わるNews@KEK ~ ニュースルーム発足へ ~

2010年7月29日

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図1

2002年1月に公開された最初のNews@KEK。



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図2

2002年1月、初代広報室長の高柳雄一教授(当時)によって、新しいデザインのKEKホームページが公開された。



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図3

2009年ニュース記事アクセスランキング

みなさんがご覧になっているこのNews@KEKの連載が始まったのは2002年1月のことでした(図1)。以来、毎週木曜日に掲載してきた記事も今回で431本目になります。この8年半ほどの間に、科学・技術が世の中でどのように受け止められ、国内外の研究機関がどのような情報を発信していかなければならないのか、世の中の認識もすっかりと様変わりしました。このような状況に対応すべく、KEK広報室では、科学・技術情報の発信体制を強化することに致しました。これに伴い、News@KEKも今号が最終号となります。

News@KEKがお伝えしてきたKEKの様々な活動を振り返りつつ、今後の情報発信体制についてお伝えしましょう。

よりタイムリーな情報発信をめざして

KEKに広報室が発足したのは2001年10月1日のことでした。当時、日本放送協会(NHK)で科学解説員として活躍していた高柳雄一氏を広報室長として招き、KEK内の様々な部署から選出された広報室員らとKEKの広報体制について熱い議論を繰り返し、新しいホームページのデザインと情報発信体制のありかたについて検討しました。News@KEKはそのような広報室の活動の柱の一つとして始まったのです(図2)。

それまでも、KEKの研究者が一般向けの科学解説記事を書くことはありましたが「研究の現場が目に見えるように」「研究テーマに親しみを感じるように」との工夫を広報室で加えながら、KEKの内外の関係者に原稿執筆を依頼しつつ、毎週木曜日に記事を公開する作業を進めてきました。

今後は、KEKの多岐にわたる研究テーマを詳しくご紹介するために「ハイライト」としてご紹介していく予定です。

多岐にわたる研究・教育活動

KEKは、電子や陽子といった小さな粒子を光の速度近くまで加速する「加速器」という巨大な実験装置を使って研究を行う機関です。宇宙の始まりの頃の謎に迫る素粒子・原子核物理学や、分子構造やその機能を詳しく調べることで様々な物質や生物の構造の理解、薬の開発や医学応用に役立つ基礎研究など、さらに加速器そのものの開発研究など、実に様々な研究テーマが進められています。

また、大学共同利用機関法人という法人名の通り、巨大な加速器施設の運転・維持を行い、大学や企業の研究者に研究の場を提供するという重要な使命もあります。

KEKで進められてきた研究テーマには、小林誠博士、益川敏英博士の2008年のノーベル物理学賞受賞を支えたBファクトリーのような巨大な実験から、KEKのフォトンファクトリーや世界の放射光実験施設を利用しながら進めてきた長年の地道な研究が2009年のノーベル化学賞につながった、アダ・ヨナット博士のように、少人数でこつこつと進める研究もあります。

また、大学院生大学生中学生、高校生の実習受入など、KEKが進めている様々な生涯学習活動もご紹介してきました。

肩のこらない読み物記事も

加速器で行われる実験にはどのようなものがあるのか雪が降ると加速器はどうなる? ダークエネルギーってなに? 記事の中によくでてくる「電子ボルト」ってなに? そんな疑問にお応えする記事も取り上げてきました。

KEKに咲く草花や、KEK内で働く特殊な車KEK周辺の史跡巡りについてご紹介したこともありました。

世界最先端の研究活動をご紹介する傍ら、このような記事を通じてKEKで働く人々の意外な側面にも触れていただけたのではないかと思います。

海外に向けた情報発信

KEKには海外から数多くの研究者が訪れ、大規模な国際共同実験を進めています。KEKの施設とそこで進められている研究テーマが海外から注目を集めるようになるにつれて、海外向けの情報発信の重要性も増してきました。2009年8月から「Feature Story」としてKEKの様々な研究活動を英語でご紹介してきました。これからは、英語と日本語でタイムリーに情報が提供できるようにするために、このFeature Storyも新しいコーナーとして生まれ変わります。

新しいメディアとの連携

これまでは年2回、News@KEKを印刷した冊子を出版しご要望に応じて配布していましたが、紙媒体としてのKEKの広報誌も魅力的な科学読み物としての体裁を整え、この秋に新たに発刊するべく、準備を進めています。

また、講演会などの記録ビデオ集もこれまでホームページで提供してきましたが、より魅力的な媒体としてご利用いただけるよう、改良を加えていきます。

Twitterなどの新しいメディアの可能性についても、検討を進めています。現在は、ニュース記事の掲載や各種イベント情報などを @KEK_JP(日本語)@KEK_en(英語)でつぶやいていますが、即時性の高い双方向のメディアとして「今後、このような情報が欲しい」などのご要望がありましたら、お気軽にメッセージを送っていただければと思います。

そして「ニュースルーム」に

KEKの活動をより分かりやすくお伝えするために、これまで「最新情報」としてご覧いただいてきたコーナーはこの秋から「ニュースルーム(日本語)」「Newsroom(英語)」へと生まれ変わります。News@KEKで取り上げてきた記事は「ハイライト」に、トピックス記事は今後、扱うテーマを増やして「ニュース」に、そして、新たに毎月1本、「クロスセクション」という特集記事のコーナーを設けて、KEKの研究活動の今後などをじっくりと解説していく予定です。

9年目を迎えるKEK広報室の新たな取り組みにご期待ください。

(広報室長:森田洋平)