IMSS

【11/3開催】文理融合シンポジウム 一般講演会

講習会・セミナー

近年、ミュオン、中性子、放射光等の量子ビームを用いた非破壊分析がさかんに行われており、測定技術も飛躍的な進歩を見せています。本講演会では、これらの非破壊分析やその結果について、最先端の研究者がわかりやすくお話しいたします。はじめに、物質構造科学研究所の小杉信博先生が非破壊分析についてお話いたします。続いて量子ビームを用いた分析の最新の話題として、大阪大学の髙橋京子先生が緒方洪庵が用いていた薬瓶のお話を、大阪大学の寺田健太郎先生が小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの欠片から分かったことをお話いたします。講演会はオンラインで開催いたしますので、ぜひ皆様ご参加ください。

講演

非破壊分析とは?

高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 小杉信博 所長
専門:分子科学

非破壊分析の進歩と今後の展望をわかりやすくご紹介します。

講演者

医療文化財の最前線:「緒方洪庵の薬箱」が語る世界

大阪大学総合学術博物館/適塾記念センター 髙橋京子 招へい教授
専門:生薬学・漢方薬学・文化財科学

緒方洪庵(1810~63年)は、江戸・幕末期の大坂に適塾を開設し、蘭学の第一人者として、福沢諭吉・長与専斎をはじめとする日本の近代化に貢献した多彩な人材を育成しました。また、幕末を代表する蘭方医で、日本における近代医学の確立に主導的役割を果たしました。種痘事業普及やコレラ治療は、現代の予防医学や公衆衛生にもつながる先駆的功績です。蘭方と漢方の東西医学を融合させ実践した洪庵の臨床経験知~新しい薬物を積極的に導入した姿勢は、未知の感染症治療において温故知新の示唆に富みます。現存する洪庵の薬箱(2点)は日本独自の薬文化を実証できる有形文化財ですが、外箱・収納器・内容物と物性が異なる複雑系実体物で、内容薬物は、生薬素材だけでなく、麻薬類や多様な剤型製剤から構成されています。本来、薬箱は往診用診療カバンで、薬の長期保存目的ではないため、150年以上の時間経過による劣化は避けられず、至適保存環境の実現が緊急課題でした。今回、新しい医療文化の形成の鍵となる「洪庵の薬箱」に遺された薬物から、国際的視野で医療に貢献する薬物探究の歴史をたどります。特筆すべき話題は、洪庵の遺した“開かずの薬瓶”について容器と内容薬両方の成分を非破壊で解明し、世界で初めてミュオンビームによる医療文化財の分析に成功したことです。本草考証とミュオンによる非破壊分析という文理融合検討の成果を紹介するとともに、近世・近現代に使用されてきた麻薬類資料の保存を困難にする現行法令の規制と、伝統医療の国際標準化にかかわる日本独自の漢方医学と医療文化継承の危機について、共に考えたいと思います。

講演者

ミュオン非破壊分析で明らかになった小惑星リュウグウの成分

大阪大学大学院理学研究科 寺田健太郎 教授
専門:宇宙地球化学

本講演で紹介するミュオン非破壊分析は、日本が世界をリードするユニークな分析手法です。我々のグループでは、はやぶさ2の打ち上げ以前から、C型小惑星の破片の分析を目指し、このユニークな分析手法の開発に取り組んできました。本講演会では、(1)ミュオン分析の何が凄いのか、(2)そのミュオン分析で明らかになった小惑星リュウグウの姿、について紹介します。

講演者

開催概要

  • 日時:11月3日(木・祝)13:00〜15:25
  • 参加費:無料
  • 事前予約制(申し込みにはPeatixまたはconnpassへの会員登録が必要です)
  • オンライン
  • 対象:中学生以上
  • 定員:450名(先着順)
  • 申込〆切:当日(11/3)12:00

申し込みフォーム

お申し込みには、Peatix への会員登録が必要です。

個人情報の取り扱い

申し込みフォームに記載いただく個人情報は、本プログラムに関するもの以外の目的での利用や第三者に対する開示をすることはありません。

入力いただいた情報は、下記のご案内などに利用させていただきます。

  • フォームに入力した内容のコピーの自動返信
  • Zoomウェビナーの接続情報のお知らせ
  • イベント終了後のアンケートのお願い

プログラム詳細

13:00〜13:05 挨拶 岡田安弘 理事(KEK)
13:05〜13:25 非破壊分析とは? 小杉信博 所長(KEK IMSS)
13:25〜14:15 医療文化財の最前線:「緒方洪庵の薬箱」が語る世界 髙橋京子 招へい教授
(大阪大学総合学術博物館/適塾記念センター)
14:15〜14:35 休憩
14:35〜15:25 ミュオン非破壊分析で明らかになった小惑星リュウグウの成分 寺田健太郎 教授
(大阪大学大学院理学研究科)

この一般講演会の開催について

この一般講演会は、放射光・中性子・ミュオンなどの量子ビームを利用する文化財研究の第一人者が一堂に会して、これまでの考古学研究、並びに関連研究、更に分析技術を紹介し、文理融合研究の可能性を探る文理融合シンポジウムのプログラムの一部として開催されます。

第7回 文理融合シンポジウム 量子ビームで歴史を探る ー加速器が紡ぐ文理融合の地平ー

問い合わせ先

文理融合シンポジウム 世話人
電話:029-864-5631
メール:bunri_yugo[at]ml.post.kek.jp
[at]を「@」に置き換えてください。