文化やものづくり、最先端の量子ビーム科学、材料科学、素粒子、そして医療まで。 私たちの世界には、未だ解き明かされていない無数の「知りたいこと」があふれています。
本講演会では、各界のトップランナーをお招きし、日々進化を遂げる最先端の研究とそのアプローチをご紹介します。理系と文系の境界を越えた多角的な視点から、文化と科学の深層に切り込むエキサイティングな時間をお届けします。
科学やテクノロジーの最新動向、歴史や文化財、ものづくりに興味のある方、どなたでもご参加いただけます。ぜひご来場ください。
高エネルギー加速器研究機構 浅井 祥仁 機構長
専門:高エネルギー素粒子物理学
すべての文化財を含むこの宇宙がどうして誕生したのでしょう?「宇宙は「無」から始まった。」どうして、何も無いところから、こんな多くの物質とエネルギーに満ちあふれた宇宙が出来たのか?宇宙の誕生にどんな「非常識」なことが起きたか?如何にして宇宙が生まれたのか?
その理解を進めるきっかけとなったのが、2012年のヒッグス粒子の発見です。最先端の素粒子研究対象が、「粒子(物質)」から「真空」「時空」に移っています。「無用の用」で、「真空」がこの宇宙を生んだ可能性が分かってきました。最先端の加速器が拓く不思議な世界のお話です。
奈良県立橿原考古学研究所 青柳 正規 所長
専門:西洋古典考古学
近代科学は、物事を細かく分解して理解する「要素還元論」を基盤として発展してきました。しかしその過程で、物事や社会の全体性や統一性といった重要な側面が見落とされることがありました。
本講演では、科学の進歩がもたらした利点を確認しつつ、人間社会や自然の有機的なつながりを再評価する必要性を考えます。その鍵として、「ホーリズム(全体論)」の考え方を紹介し、現代社会におけるその意義を再認識したいと思います。
高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 反保 元伸 特別助教
専門:ミュオン科学
文化財を未来に残すためには、資料を傷つけずに、その材料や製作技術を調べることが重要です。これまで文化財の非破壊分析には、X線、電子線、光などを用いたさまざまな方法が使われてきました。近年、これらに加えて、素粒子の一種である「ミュオン」を利用した新しい分析法が注目されています。ミュオンを使うと、文化財の表面だけでなく、内部の元素情報や深さ方向の変化を調べることができます。
本講演では、「ミュオンを使うと何がわかるのか?」を、実際の文化財分析の例を交えながらわかりやすく紹介します。
東北大学金属材料研究所 佐々木 孝彦 所長・教授
専門:物性物理学実験
東北大学金属材料研究所(金研)は、創立以来110年にわたり「社会のための材料科学」を掲げ、革新的な発明を世に送り出してきました。
本講演では、世界初の人工永久磁石「KS磁石鋼」や通信技術を支えた「センダスト」、登山史に刻まれる「山内ピッケル」、金属組織観察に不可欠な「村上試薬」といった具体例を紐解きます。これらの成果の根底には、材料創出に欠かせない「創製・観測・探求」の知恵と技術を尊ぶ「ものづくり文化」が息づいています。この精神は現在、共同利用プログラム「人文科学と材料科学が紡ぐ新知創造学際領域の形成(新知創造学際ハブ)」へと引き継がれ、人文科学との融合による新たな価値創造を牽引しています。金研の110年の歩みと社会の関わりを振り返りつつ、文理の枠を超えた未来への展望をお話しします。
大阪大学核物理研究センター 中野 貴志 センター長
専門:原子核物理学
文化財研究における「資料を傷つけずに内部を調べる」技術と、核医学治療における「正常細胞への影響を抑えてがん細胞を狙う」技術は、一見異なる応用でありながら、対象を選択的に見極め、必要な場所にだけ作用させるという量子ビーム利用の共通した考え方に支えられています。
本講演では、大阪大学核物理研究センターにおける加速器科学と量子ビーム利用の取り組みを紹介しながら、理学、工学、医学、人文学が交わることで生まれる新しい知の可能性について、一般の方にもわかりやすくお話しします。
| 9:50〜9:55 | 挨拶 | 船守 展正 所長(高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所) |
| 9:55〜10:05 | 休憩 | |
| 10:05〜10:45 | 宇宙のはじまりの「非常識」 | 浅井 祥仁 機構長(高エネルギー加速器研究機構) |
| 10:45〜10:55 | 休憩 | |
| 10:55〜11:35 | 要素還元論とホーリズム | 青柳 正規 所長 (奈良県立橿原考古学研究所) |
| 11:35〜13:35 | 写真撮影・昼食 | |
| 13:35〜13:40 | 事務局からのご案内 | |
| 13:40〜14:20 | ミュオンによる文化財科学 | 反保 元伸 特別助教 (高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所) |
| 14:20〜14:30 | 休憩 | |
| 14:30〜15:10 | 東北大学金属材料研究所110年の歩みーものづくり文化の伝統と継承ー | 佐々木 孝彦 所長・教授 (東北大学金属材料研究所) |
| 15:10〜15:20 | 休憩 | |
| 15:20〜16:00 | 量子ビームでひらく科学と社会ー見えないものを見る、狙って治すー | 中野 貴志 センター長 (大阪大学核物理研究センター) |
| 16:00〜16:05 | 閉会の挨拶 | |
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この一般講演会は、放射光・中性子・ミュオンなどの量子ビームを利用する文化財研究の第一人者が一堂に会して、これまでの考古学研究、並びに関連研究、更に分析技術を紹介し、文理融合研究の可能性を探る文理融合シンポジウムのプログラムの一部として開催されます。
第11回 文理融合シンポジウム 量子ビームで歴史を探る ー加速器が紡ぐ文理融合の地平ー
文理融合シンポジウム 世話人
メール:bunri_yugo[at]ml.post.kek.jp
[at]を「@」に置き換えてください。