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物構研News No.33

No.33 2021年6月発行


「地球に生命をもたらしたもの」が 小惑星の探査で分かるわけ ~小惑星探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウ試料の分析~

私たちの住む地球がある太陽系は、初めガスと塵からなる円盤だった。その円盤には雪線(snow line)という概念があった。太陽から受け取る熱量は太陽から遠ざかるほど減少する。雪線とは水が氷になるかどうかが決まる太陽からの距離のことで、立体的には球面ということになる。圧力が低い宇宙空間において、水は液体ではいられず、雪線の外側では氷で、内側ではガスだった。 雪線の外側でできた天体は塵と氷の集まり、内側でできた天体は塵の集まりだ。地球は雪線の内側でできたと考えられていて、初めから水がないはず。なのに今の地球には水があり、海がある。なぜだろう。

物構研ハイライト 2021/06/03 「地球に生命をもたらしたもの」が 小惑星の探査で分かるわけ ~小惑星探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウ試料の分析~


小天体探査ミッションに選ばれた人
~東北大学 中村 智樹 教授~

東北大学 大学院理学研究科 地学専攻の中村 智樹 教授は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさ2プロジェクト 初期分析チームのひとつ「石の物質分析チーム」のリーダーです。
中村教授はもともと天文や惑星が好きな少年でした。大学では学部生の頃から惑星科学の研究を始め、フォトンファクトリー(PF)で初めて実験したのは1991年のこと。以来30年間、PFに多数の地球外物質試料を持ち込んで分析を続け、真空封止アンジュレーターやIP(イメージングプレート)導入などPFの分析能力向上も見守ってきました。

物構研トピックス 2021/06/04 小天体探査ミッションに選ばれた人 ~東北大学 中村 智樹 教授~

PF BL-3Aにて分析装置を示す中村教授  (2020年11月撮影)

「はやぶさ2」初期分析チーム 固体有機物分析チーム チームリーダー
~広島大学 薮田 ひかる 教授~

PFユーザーの薮田 ひかる 教授は、宇宙に存在する有機物の化学進化を研究しています。「はやぶさ2」初期分析では、PF BL-19Aの走査型透過X線顕微鏡STXMを用いて小惑星リュウグウの砂や石に含まれる有機物の化学組成と分布を明らかにすることを計画しています。リュウグウはどのような天体なのか、宇宙で生命材料物質がどのように作られたのか、の解明を目指しています。

PF BL-19Aにて実験中の薮田教授(2020年12月撮影)
(写真提供:広島大学大学院 先進理工系科学研究科 薮田教授)

科学技術分野の文部科学大臣表彰研究支援賞を受賞

PFの 丹羽 尉博 技師と小山 篤シニアフェローが、放射光ビームライン高度化による触媒反応実験の実現への貢献により、文部科学大臣表彰 研究支援賞を受賞しました。

物構研ハイライト 2021/04/08 フォトンファクトリーの技術職員 丹羽 尉博さんと小山 篤さんが文部科学大臣表彰 研究支援賞を受賞

表彰式にて(2021年4月撮影) 左から小山篤さん、丹羽尉博さん

KEKは2021年4月、創立50周年を迎えました

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