3月10日、カナダのトライアンフ研究所(TRIUMF)にて、エネルギー回収型ライナック(ERL)の実現に向けた技術研究会が行われました。
ERLはフォトンファクトリーの次世代光源として計画されている加速器で、その実証器にあたるコンパクトERL(cERL)の建設が現在すすめられています。一方、TRIUMFでもERLの建設が計画されており、共通する技術開発について情報交換し互いに向上していくために研究会が設けられました。
ロッキヤー(Nigel Lockyer)トライアンフ所長のあいさつに続き、KEKの放射光施設、TRIUMFの施設についてそれぞれの紹介と研究例、将来計画が述べられました。ERL実現のためには電子銃、超伝導加速空洞、ビームコントロール技術など、様々な技術開発が必要です。特に電子銃はビームの質を大きく左右するため、詳細な議論が持たれました。電子銃を構成する素材や、電極の形状、放電を防ぐための表面加工技術など、互いの知見を深めることができました。午後には、TRIUMFで建設の始まった電子の線形加速器、原子核物理実験を行うメソンホールなどの施設見学を行いました。引き続き行われたセッションでは、作り出した電子を加速させる超伝導加速空洞やその冷却などについて話し合われました。最後に、それぞれのセクションで装置のデザインや計測技術、シミュレーションなど今後協力していく内容を確認し、幕を閉じました。