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再生可能エネルギーについて考えるサイエンスカフェ開催

物構研トピックス
2012年3月21日

3月17日(土)、つくば市民大学にて、サイエンスカフェ「身近な水が再生可能エネルギーになる!? -人工光合成が拓く未来-」が開催されました。このイベントは日本学術会議化学委員会、科学技術振興機構 さきがけ「光エネルギーと物質変換」研究領域、東京応化科学技術振興財団の主催により、KEKの足立伸一物構研教授が講師を務めました。当日はあいにくの雨天でしたが、小学生から大人まで約30名が参加しました。

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全体の様子

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実験の様子
湯沸かしポットから出る蒸気を手鏡にかざし、曇り具合を比べる。

サイエンスカフェでは、まず絵本「太陽と光しょくばいものがたり」(藤嶋昭・かこさとし著、偕成社)を題材に、光触媒「酸化チタン」の発見から実用化までを紹介し、酸化チタンを用いた光触媒の実験が行われました。青いインクのスタンプに紫外線を照射すると無色になる(有機物の分解)実験や、手鏡の曇り止め(超親水性)の実験です。参加者は、用意された実験道具以外にも、光触媒の塗布されていない紙やボールペン、鉛筆などを持ちこみ、紫外線照射して実験結果の違いを楽しみ、互いに意見を交わしていました。

実験の後は、化石資源の枯渇や地球温暖化の現状と、再生可能エネルギーの重要さが紹介され、地球表面に届く太陽光のエネルギーと全人類が使用するエネルギーの比較から、太陽光を利用した再生可能エネルギーの可能性について考えました。そして植物の光合成と同じように、光触媒と太陽光エネルギーを使って、化学的に安定な水を分解して化学エネルギーを取り出す方法「人工光合成」について学びました。また人工光合成の物質開発の状況や光合成の行われている"その場"をナノスケールで観測する放射光を用いた研究について紹介されました。「太陽電池とどう違うの?」や「人工光合成が環境に与える負の影響はないのか?」など人工光合成に関する質問に加え、放射光そのものに関する質問もあがりました。サイエンスカフェには、他の研究機関の方も参加され、議論は多方面に広がり、互いに情報交流の場となりました。


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