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水野 智也氏、第13回原子衝突研究協会 若手奨励賞を受賞

物構研トピックス
2012年7月 4日

第13回原子衝突研究協会 若手奨励賞を水野智也(みずのともや)KEK物構研特任助教が受賞しました。
この賞は、原子衝突および関連分野で優れた研究を行った若手研究者に対して贈られるものです。原子衝突協会は平成24年度より原子衝突学会に改称、若手奨励賞は昨年度の申請に対するもののため、原子衝突協会として7月27日に表彰式が行われる予定です。

受賞対象の研究は「高速重イオンの荷電変換衝突による分子分解過程の研究」です。水野氏は京都大学大学院工学研究科在学中、伊藤秋男教授の指導のもと量子理工学研究実験センター(現量子理工学教育研究センター)に設置された1.7MVタンデム型コッククロフト・ウォルトン型静電加速器※1を用いて、MeVの運動エネルギーを持つ重イオンと原子分子との相互作用を研究してきました。

研究では、気体分子に重イオンを入射、衝突させ、衝突された気体分子の分解過程を詳細に測定。そして入射イオンが標的分子から電子をもらう「電子捕獲衝突」と入射イオンが電子を失う「電子損失衝突」において反応過程が大きく異なる事がわかりました。この違いは、入射イオンが荷電変換する確率と分子分解過程が、標的分子-入射イオン間の距離(衝突径数)と入射イオンの進行方向に対する分子の向きに強く依存するためである事を明らかにしました。
この成果は高速イオンビームを用いた分析技術や重粒子線癌治療の原子分子過程を明らかにする上で重要なものです。またこの技術は、KEKフォトンファクトリーの「気相配向分子の光電子回折法の開発」にも活かされています。

用語解説

  • ※1 コッククロフト・ウォルトン型静電加速器
  • 多数のコンデンサと整流管を組み合わせた装置で、高い静電界をつくることで荷電粒子を引き寄せて加速する加速器


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