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第6回アジア・オセアニア放射光フォーラム開催

物構研トピックス
2012年8月22日

8月8日から10日の3日間、タイの首都バンコクにて、第6回アジア・オセアニア放射光フォーラム(6th Asia-Oceania Forum for Synchrotron Radiation Research (AOFSRR))が開催されました。
AOFSRRは、アジア・オセアニア地域の主要な放射光施設および放射光学会からなるフォーラムで、放射光科学における相互協力体制の構築と若手研究者育成を目的として2006年に設立されました。このフォーラムの主要参加国・地域は、日本、韓国、中国、オーストラリア、台湾、インド、タイ、シンガポールであり、またオブザーバ国としてニュージーランド、マレーシア、ベトナムが参加しています。2006年にKEKで第1回AOFSRRが開催されて以降、これまでに台湾、オーストラリア、中国、韓国で毎年順次開催され、今回のタイ・バンコク(主催:タイ放射光研究所 Synchrotron Light Research Institute (SLRI))で、第6回目の開催となります。

初日午前中のSLRIユーザーズ・ミーティングに続いて、午後からAOFSRRのサイエンス・セッションが始まりました。SLRIはドイツ・DESY(ドイツ電子シンクロトロン研究所)の放射光グループとの親交が深く、DESY所長のHelmut Dosch氏をはじめ、検出器開発担当のHeinz Graafsma氏なども参加しており、また北米、ヨーロッパからの招待講演者も含めて、アジア・オセアニア地域に留まらず国際色豊かな会議となりました。また、SLRIをはじめとしてポスターセッションが開催されました。

2日目のサイエンス・セッションでは、アジア・オセアニア地域の放射光施設の現状やサイエンス・トピックスについての発表が行われました。日本からは、理研/高輝度光科学センターのX線自由電子レーザー(XFEL)施設・SACLAの現状が報告されました。午後にはタイ王室からシリントーン王女(Her Royal Highness Maha Chakri Sirindhorn)が会議に参加され、王女によるスピーチとAOFSRR参加国・地域のMoU締結式が行われました。

ポスターセッション会場

3日目は、午前中のパラレルセッションの後、午後にはアジア・オセアニア地域における放射光施設の建設・計画の現状の報告がありました。KEKからは次世代放射光源として検討しているエネルギー回収型ライナック(ERL)計画の現状についての報告を行い、ERL計画におけるアジア・オセアニア地域の研究施設・研究者との一層の協力体制の構築を呼びかけました。
午後の最後のセッションでAOFSRRの活動報告と今後の活動方針案(Bangkok Communique)を採択して会議を終了しました。

会議開催後には、SLRI見学も行われました。SLRIの光源加速器はKEK北側の北部工業団地にあったSORTECを移設、改良し建設されたものです。実験ホールでは、X線領域のエンドステーションでも実験ハッチが建設されていないものがありましたが、建屋は計画的に作られ、余裕のある設計がされています。

もともとこのタイ・バンコクでのAOFSRR開催は、昨年10月に予定されていましたが、タイ全域の洪水被害のために直前で中止となり、今回1年越しで改めて開催されました。それゆえに地元タイの放射光施設スタッフの思い入れも深かったようです。微笑みの国・タイを実感する、ホスピタリティーにあふれた会議でした。


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