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第4回MLFシンポジウム、茨城県ビームライン成果報告会と合同開催

物構研トピックス
2012年10月16日

10月10、11日の二日間、都内にて第4回J-PARC/MLFシンポジウム・茨城県ビームライン平成23年度成果報告会が行われ、200名以上の研究者が集いました。
MLF(物質・生命科学実験施設)シンポジウムはJ-PARCセンター、日本原子力研究開発機構、KEK物質構造科学研究所の主催により、 産業界を含め、利用者による研究成 果、施設の開発経過など双方向の情報交換をする場として年一回行われているものです。今年度は、MLFの共用装置の運営に携わる総合科学研究機構と2本の中性子ビームラインを有する茨城県も主催に加わり、茨城県の成果報告会と合同で開催されました。

全体の様子

冒頭、新井 正敏 物質・生命科学ディビジョン長の「産業界も巻き込んで大いに議論して欲しい」との言葉と共にシンポジウムは始まりました。
文部科学省 研究振興局 基盤研究科量子放射線研究推進室 原 克彦 室長より 「最先端の施設を存分に活用し、世界に誇れる成果をぜひ創出していただきたい。」との挨拶をいただき、 続いて、2012年7月よりJ-PARCセンター長に就任した池田 裕二郎氏より「様々な角度から議論して、次の成果に結びつけていただきたい。」との挨拶がありました。

初日、MLFの施設整備状況が報告され、物質材料研究機構の宝野和博氏による特別講演では、 レアアースの一種であるディスプロシウムを使わない強力な磁石の開発を目指した研究について発表されました。 宝野氏をリーダーとする、元素戦略磁性材料拠点の解析評価グループでは、今後J-PARCを利用した研究も行われる予定です。
午後からは、中性子散乱によって明らかになった磁性の新たな側面に関する研究や、現在ビームライン建設が進められている超低速ミュオンによるサイエンスの展望についての発表があり、 その後、ソフトマター、物性、環境・エネルギーの3セッションで発表がありました。

ポスターセッションの様子

2日目は、考古学や材料科学への応用として、貴重な試料の非破壊分析や金属の残留応力測定などの講演があり、 その後は、茨城県の所有するビームラインによる成果発表会とMLFビームラインによる物性に関する研究、装置開発に関する発表が行われました。 また、ポスターセッションでは、約80件の発表と企業による展示があり、活発に議論する様子が至る所で見られました。

最後に、MLFをより使いやすくするため、ユーザーと施設運営側との意見交換が行われました。 試料準備環境や、利用登録、実験データ解析環境などの向上は、研究活動を下支えするうえで不可欠です。このような議論を重ね、更に改善されていくことが期待されます。


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