2012年12月25日(火)から28日(金)にかけて、KEKつくばキャンパスで、独立法人科学技術振興機構が主催する3泊4日のウィンターサイエンスキャンプが開催されました。参加者は、茨城、関東といった近隣圏のみならず、東北、関西、四国、九州など、全国から集まった高校生20名。生徒たちは全体で行われる実習、講義、見学の他、5名ずつAからDの4つのコースに分かれ、実習や発表を中心としたコース別実習に参加。研究者や参加者同士の交流を通じて研究を体験しました。
Aコースは、素粒子・原子核実験に多数使われているプラスチックシンチレーションカウンターを製作し、宇宙から降り注ぐ宇宙線の信号を見てその速度を測る、「素粒子をみてみよう」。Bコースは、光の回折現象を利用して、目に見えない小さなものを測定する、「回折でものを見てみよう」。Cコースは、模型を使用して加速器で用いる電磁石の性質を調べ、粒子に与える効果について実験的に確かめる、「加速器に使う磁石の性質を調べてみよう」。Dコースは、加速器で作る粒子、宇宙から降り注ぐ宇宙線、大地から出てくる放射線など、いろいろな放射線と物質の相互作用の理解を深める計測実験を行う、「放射線を見てみよう」。4つのコースの実習はすべて、KEKで実際に行われている研究の原理や手法を、高校生にもできるようにアレンジしたものです。得られたデータを解析し、結果について考察し、仲間と議論して成果をまとめ、他の人に理解してもらうように発表する、といった、研究の一連のプロセスを体験し、生徒たちは研究の楽しさや難しさを学んでいきました。
それぞれのコースにチャレンジした受講生は、最終日の研究発表会の後、全員が鈴木厚人機構長から「未来の博士号」と書かれた修了証を受け取りました。参加した高校生からは、「高エネ研でのキャンプは、グループの仲間たちと実験し、解析し、発表することがメインでした。内容は高校生の域を超えるものもありましたが、講師の先生方が工夫して分かりやすく説明してくださり、理解することができました。何より研究所で実際に行っている研究に近いことを行うので、発表した後の達成感は大きかったです」といった感想がありました。また、KEKでのサイエンスキャンプへの参加を考えている皆さんへも、「だれでも参加するときは、「できるかな」、と心配になるけれども大丈夫です。終わるころにはみんなと仲良く話せるし、実習内容も一から順番に教えてくれて完全に分かるようになっています。まず応募という一歩を踏み出そう」といったメッセージを寄せてもらいました。
サイエンスキャンプでは、講師であるKEKの研究者に加え、高校生等の理科科目の履修状況、理解度や興味の持ち方など、参加高校生の現状についてのアドバイス及び理解の助けとなるサポートや、宿泊施設での生活指導を行っていただくために、アドバイザーとして茨城県立玉造工業高等学校の齊藤孝通教諭と、茨城県立鹿島高等学校の前川匡史教諭にご参加をいただきました。前川教諭からは、「知識や経験はなくてもサイエンスが好きな子であれば誰でも参加して、すばらしい体験ができる、このKEKでのサイエンスキャンプをもっと知っていただいて、いろいろな高校生に参加してほしいですね」、との感想をいただきました。
今回のサイエンスキャンプの日程は以下のようでした。
1日目 12月25日(火)※1 コース毎に持ち時間(30分程度)を定めて発表を行い、質疑討論を行う。