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物構研サイエンスフェスタ、3つのシンポジウムと合同開催

物構研トピックス
2013年3月19日

3月14日、15日、つくば国際会議場にて物構研サイエンスフェスタが開催され、約500名の研究者が集いました。KEKの物質構造科学研究所(物構研)が擁する放射光、中性子、ミュオン、低速陽電子の4つの量子ビームの総合的な利用促進を目的に、第30回PFシンポジウム、第1回KENSシンポジウム、第1回MSLシンポジウムとの合同開催となりました(それぞれ、PF: フォトンファクトリー, KENS: 中性子科学研究系, MSL: ミュオン科学研究系 の略称)。

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山田和芳 KEK物構研所長の挨拶により「マルチプローブが拓く 物性研究の最前線」をテーマにしたセッションが始まりました。 物構研では、4つの量子ビームを総合的に利用する「複合量子ビームプラットフォーム」の構築を検討しています。 このセッションではマルチプローブ利用の実例として、放射光・中性子を利用した固体酸化物型燃料電池材料、放射光・ミュオン・中性子を利用した強相関電子材料などの講演が行われました。
午後のセッションでは、生命体・物質をまたぐソフトマターをテーマに講演・議論が行われました。タンパク質の立体構造解析では、4つのビームに加え、X線自由電子レーザー(XFEL)を利用したマルチプローブ研究について高い関心が寄せられました。

ポスターセッションでは、約300件の発表があり、至るところで活発な議論が展開されました。発表した学生の中から特に優秀なものについて、6件のポスター賞が選出され、翌15日に授賞式が行われました。

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(左)ポスターセッションの様子
(右)ポスター賞受賞者:左から、山田和芳 物構研所長、中山和也氏(東大院理)、砂川正典氏(岡山大院自然科学)、神田聡太郎氏(東大院総合文化)、藤崎布美佳氏(総研大)、佐藤 衛氏(PF-UA会長)、福永俊晴氏(MLF利用者懇談会前会長)

2日目は、放射光・低速陽電子の第30回PFシンポジウム、中性子のKENSシンポジウム、ミュオンのMSLシンポジウムの3つが開催されました。これらのシンポジウムは大学共同利用施設を運用する施設側と利用者が意見を交わしながら施設運用や将来計画を方向付けていく場となっています。

PFシンポジウム

今年度よりPFの施設長となった村上洋一教授より施設、体制の概要とKEKロードマップを含めた将来計画についてコミュニティに示されました。次いで構造生物学研究センター、構造物性研究センター、低速陽電子実験施設より主な研究プロジェクト、ビームラインや装置の整備状況、そして光源加速器のアップグレードについて、具体的な計画が示されました。
午後には次世代放射光源として推進しているエネルギー回収型ライナック(ERL)に関するセッションが持たれ、愛称「PEARL, Photon Factory ERL Advanced Research Laboratory」がお披露目されました。この実現に向け、技術検証用のコンパクトERLの建設状況、PEARLによって可能となるサイエンスについて発表されました。また、今回は活動の大きな柱の一つである国際協力に関するセッションが設けられました。オーストラリアの研究者による建設・運用してきたオーストラリアビームラインの運用終了を記念したセレモニー、2011年より運用開始したインド人研究者により運用されているビームラインについて、装置・利用状況の発表が行 なわれました。最後に、施設運用に関する討論会が行われました。

KENSシンポジウム

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新たに発足した中性子科学研究系のシンポジウム「KENSシンポジウム」は、J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF) を中心に行われている中性子を利用した物性科学および基礎物理の研究会として行われました。KENSはMLFに6台の中性子装置を稼働させており、それらの整備状況と共に、そこで展開されているサイエンスについて発表、議論されました。特に今回はプロジェクト型研究課題(S型)に焦点をあてて行われ、次世代エネルギー材料を狙う研究や、新たに建設される中性子のスピンを利用したダイナミクス解析装置VIN-ROSE及びPOLANOの建設・整備状況を含めた計10件が発表が行われ、施設利用のあり方などを含めた活発な議論が交わされました。

MSLシンポジウム

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今回第1回目となるMSLシンポジウムは「ミュオン新規ビームラインにおける研究討論会」と題し行われました。MLFにて現在建設を計画しているSビー ムラインおよびHビームライン基幹部の整備状況、次いで設置予定のμSR分光器開発に関する発表が行われました。午後はサイエンスに関するセッションを中心に行われました。一部予算化により、いよいよ本格的な建設が始まるSラインでの物質・材料科学への展望、さらにはHラインで提案されている基礎物理の研究についても発表がありました。利用者からは、検出器の効率向上に対する期待の声や、よりサイエンスの幅を広げるためのインフラ整備の要望などが寄せられられました。


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