IMSS

高性能光源開発のための研究会を開催

物構研トピックス
2013年9月20日

9月18日から19日まで、機構内にて、フォトンファクトリー(PF)研究会「極短周期アンジュレータと新しい高性能光源加速器の開発」が開催されました。 PF研究会は放射光科学の研究推進を目的に、全国の研究者から提案を募り、開催される研究会です。今回は高輝度放射光を発生させるためのアンジュレータの最先端の開発状況と展望、 そして併せて開発される光源加速器をテーマに、機構内外から50名以上の研究者が集いました。

会場の様子

放射光は、ほぼ光速で動く電子を磁石の力で曲げた時に放射される、強い光です。この光は物質の構造を原子、分子レベルで調べられるため、材料開発などに広く利用されています。 放射光を作り出す施設を光源加速器といい、KEKではフォトンファクトリーを運用しています。

アンジュレータの模式図
鍵盤のように並べた磁石を向かい合わせにしたもの。電子がこの間を通ると、左右に振られ、高輝度のX線を発する。


PFに設置されている真空封止型短周期アンジュレータ

より高輝度な光を作り出すため、磁石をピアノの鍵盤のように並べたアンジュレータという装置が光源加速器の中に設置されています(右図)。 磁石配列の周期を短くして高いエネルギーの光を発生させる短周期アンジュレータが実用化されることによって、比較的低いエネルギーの光源加速器でX線領域の高輝度光を発生させることが可能になり、その結果、放射光施設の建設費や運転費のコストが大幅に抑えられるようになりました。今後は、さらに高輝度のX線を発生させるために、周期長を現在の1/10(4 mm)程度に短くした極短周期アンジュレータの開発が進められています。そのためには、極短周期の磁場を作成するための着磁方法、磁力にも耐えられる架台など、開発すべき課題があります。 そして、極短周期アンジュレータは、電子ビームが通るための隙間が非常に狭い(2 mm程度)ので、細く絞られた電子ビームを周回させる光源加速器に対しても開発が求められます。 本研究会では、このような課題に対する開発の現状が発表されました。
また、次期光源加速器として検討されている3 GeV蓄積型加速器やERL(エネルギー回収型ライナック)によって得られる放射光を利用したサイエンスについても発表され、活発な意見が交わされました。

プログラムなど、研究会の詳しい情報はこちらをご覧ください。


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