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星野 学氏、日本結晶学会進歩賞を受賞

物構研トピックス
2013年11月 6日

東京工業大学大学院理工学研究科物質科学専攻・産学官連携研究員(KEK物質構造科学研究所協力研究員)の星野学氏が、平成25年度の日本結晶学会進歩賞を受賞しました。この賞は結晶学の進歩発展に寄与し、優秀な研究を発表した35歳未満の研究者に授与されるものです。

授賞式の様子

受賞対象となった研究は「単結晶X 線構造解析による短寿命励起分子構造の可視化」です。光エネルギーを利用する光触媒反応や高速光スイッチング素子などの開発は、グリーンイノベーションの観点からも社会的に関心を集めています。 従来、光によって誘起される現象の観測には、主に分光法が用いられていましたが、分光法で得られる情報は電子遷移や分子振動に関するものであり、より詳細な構造解析が求められていました。
原子レベルの構造解析に用いられるX線結晶構造解析法は、時間的な平均構造を観測する手法ですが、近年、高強度のパルスレーザーと超短パルスX線光源の技術の発展により、結晶中の分子の立体構造が変化する過程を直接観測することが可能になってきました。星野氏は、ピコ秒(1兆分の1秒)パルスレーザーとフォトンファクトリーPF-ARの超短パルスX線光源を組み合わせて、分子の一瞬の姿(立体構造)を捉えるポンプ-プローブ単結晶構造解析を行いました。

その結果、この手法を用いて有機光触媒の光誘起電子移動、および光や温度変化によって伝導性や光学特性、誘電率の変わる有機物質(TTF-CA単結晶)の光誘起による相転移の構造変化を捉えることに成功しました。 これは、分光法では得られない光励起に伴う光触媒分子の構造変化を直接求めた研究で、今後の光反応における高速な構造変化を動的側面より解明する研究に発展するものと期待できます。

本賞は2013年10月12日の結晶学会にて、授与されました。


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