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佐藤友子氏、日本高圧力学会奨励賞を受賞

物構研トピックス
2013年11月26日

日本高圧力学会の2013年度奨励賞にフォトンファクトリーを利用して顕著な成果を上げている佐藤友子氏が選出され、 11月14日(水)~16日(金)に行われた第54回高圧討論会総会にて表彰されました。 奨励賞は高圧力の科学・技術の進歩に貢献した若手研究者・技術者2名までに授与されるものです。

左から、高圧学会長の高橋 博樹氏(日本大学 教授、PF高圧ユーザーグループ代表)と、受賞した佐藤 友子氏

受賞対象となった研究は「高圧下におけるSiO2ガラスの振る舞いの解明」です。二酸化ケイ素(SiO2)は地殻を構成する物質の一つで、 水晶や砂(石英)、窓ガラスとして身の回りに多く存在している物質です。地殻より下の地球内部は高温高圧であり、そのような環境下でのSiO2の振る舞いについて研究が進められています。
佐藤氏は、フォトンファクトリーのビームラインBL-18CやNE1Aなどを利用し、高圧を発生させる装置「ダイヤモンドアンビルセル」と放射光を組み合わせ、研究を進めてきました。

SiやOのような軽元素で構成され、かつ非晶質である物質は通常X線で見るのは困難ですが、X線の吸収を利用した密度測定および回折法による構造測定のための技術開発を行い、 地球内部のマントル深部に相当する100万気圧までのSiO2ガラスの構造変化の測定に成功しました。 その結果から、マントル深部でメルト(マグマ)と結晶(鉱物・岩石)の密度逆転が容易には起こらないことを指摘しました。

また、加圧したSiO2ガラスの塑性変形が、結晶のケイ酸塩とは大きく異なることを見いだし、ガラスの永久高密度化現象と密接に関連する可能性を指摘しました。 さらに、圧力媒体として広く使われているヘリウムが、SiO2ガラスの空隙に入り込ことにより、他の圧力媒体中では観測されない異常な挙動を示すことを発見しました。

このように、佐藤氏の挙げた業績は、地球科学のみならず、材料科学、凝縮系物理学など多くの分野に知見を与えたことが高く評価されました。


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