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第5回J-PARC MUSE成果報告会を開催

物構研トピックス
2014年5月30日

5月26日、第5回J-PARC MUSE成果報告会がKEK東海キャンパスにて開催されました。 これはJ-PARCのミュオン科学研究施設(MUSE: MUon Science Establishment)で2013年度に実施された大学共同利用実験について、実験者がデータの解析方法や結果の解釈などをインフォーマルに情報交換するための研究会です。 ミュオンを用いた研究の幅広さを反映し、普段顔を合わせることの少ない異分野の研究者が集まる交流の場ともなっています。

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報告会の様子

最初に施設側から、建設が進められている超低速ミュオンビームライン(Uライン)、低速ミュオンビームライン(Sライン)の進捗状況と、 今後建設が計画されている高速ミュオンビームライン(Hライン)についての現状が報告されました。

成果報告会は「1.ミュオン基礎物理・技術開発」、「2.非破壊元素分析・物理化学」、「3.強相関電子系」、「4.材料科学・水素関連欠陥」の4つのセッションに分かれ、最初のセッションでは、Hラインで提案されているミュオン・電子転換実験用の検出器開発、 ミュオニウム(ミュオンが電子を束縛した水素原子のような状態)の精密測定のための検出器開発、超低速ミュオニウム発生用の標的材料開発など、技術開発に関わる実験についての報告が中心に発表されました。
引き続くセッション2では、ガラス封入した状態の隕石模擬物質の非破壊元素分析実験などが報告され、セッション3、4ではミュオン・スピン回転法を利用した銅酸化物超伝導体、遷移金属磁性体の研究、 さらにはミュオニウムが水素のように振る舞う性質を利用した導電性セメント中の水素状態の分析、水素吸蔵化合物中の水素の動きを観る研究などが発表されました。

2013年度は、J-PARCハドロンホールの事故の影響により、MLFでの実験件数は大幅に減りましたが、この成果報告会は前年度と変わらず多くのユーザーが集まり、盛会となりました。 来年度には、稼働するビームラインも増える予定のため、ユーザー数、サイエンスともに更なる広がりが期待できます。

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