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KEK

POLANO(偏極中性子散乱装置)の真空散乱槽を搬入

物構研トピックス
2015年1月19日

 1月15日(木)、J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子ビームラインBL23に、実験装置の基盤となる真空散乱槽が搬入されました。

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集合写真

 扇形の真空槽は直径がおよそ5メートル、高さがおよそ3メートル、重量約20トン。KEKと東北大学で締結した大学連携の下、共同でMLFに建設している偏極中性子散乱装置POLANO(POLarization Analysis Neutron Spectrometer)で使用されます。製作現場(日立造船株式会社)の大阪築港工場より特殊トレーラーにて2日間かけてJ-PARCまで輸送されました。

 真空散乱槽は、試料によって散乱された中性子が空気による無駄な散乱を受けずに効率よく検出するためのものです。そのため扇形の形状をしており、この中心部に試料が設置される仕組みになっています。特にPOLANOで使用する真空散乱槽は、これまでにない大きな特徴が二つあります。一つめは大きな真空槽が分割できる構造になっていること。二つめは、真空槽内部に偏極アナライザーを駆動させる機構が備わっていることです。どちらも大型真空槽では難しい技術ですが、今回それを実現しました。

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搬入の様子

 今後、2015年秋からの運用を目指し、今回設置した真空散乱槽や各機器の調整が行われる予定です。POLANOが運用されると固体を構成する原子・分子の振動やスピンの運動を解析する実験に利用されます。


用語解説

  • 偏極アナライザー

    中性子スピンの向き(アップ/ダウン)を検出する装置

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