物構研トピックス
2015年3月27日
東京理科大学の住野 豊氏が日本物理学会若手奨励賞を受賞しました。この賞は、将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、学会を活性化するために設けられた賞で、3月に行われた日本物理学会年次大会にて授賞式が行われました。
住野氏は、生き物のように動く構造体が、どのように作られているのか、そのしくみを研究しています。例えば、細胞膜が自発的にできあがったり、細胞が動いたりする様子を物理的に検証し、ソフトマターと呼ばれる柔らかい物質で模倣するなどしています。これまでにNews@KEKで取り上げたように、アメーバのように自発的に動く油滴(右図)の条件を発見、その様子をフォトンファクトリーのX線小角散乱を利用して測定、しくみを解明するなどしています。この成果を含めた非平衡ソフトマター系における自発運動の実験・理論的研究が評価されました。
受賞対象となった論文は、以下の通りです。
- "Formation of a multi-scale aggregate structure through spontaneous blebbing of an interface", Langmuir 28, 3378?3384 (2012)
- "Failure of film formation of viscoelastic fluid: Dynamics of viscoelastic fluid in a partially filled horizontally rotating cylinder", Phys. Rev. E 85, 046307 (2012)
- "Large-scale vortex lattice emerging from collectively moving microtubules", Nature 483, 448-452 (2012)
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