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高木秀彰氏、繊維学会奨励賞を受賞

物構研トピックス
2016年6月16日
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授賞式の様子。左から、繊維学会会長 鞠谷雄士氏 (東京工業大学大学院理工学研究科教授)、高木秀彰氏(KEK物質構造科学研究所研究員)

KEK物質構造科学研究所の高木秀彰研究員が、第2回(平成27年度)繊維学会奨励賞を受賞しました。この賞は、繊維科学もしくは繊維技術全般について優秀な研究を行い、今後も継続して活躍が期待できる新進気鋭の研究者に授与されるものです。

受賞対象となった研究は「放射光X線小角散乱法によるブロック共重合体/ホモポリマーブレンドが形成する新種ミクロ相分離構造に関する研究」です。高木氏は、種類の異なる高分子鎖の末端同士が結合したブロック共重合体と呼ばれる高分子化合物が作るミクロな構造について、フォトンファクトリーの放射光X線小角散乱法(SAXS)を用いて研究しています。ブロック共重合体は、ナノメートルオーダーの非常に規則正しい構造を形成することが知られています。ブロック共重合体にホモポリマーを混合したときに形成する構造を高空間分解能SAXSで詳細に調べることにより、ダブルダイヤモンド型のネットワーク構造(図1)や、準結晶の近似結晶として知られているσ相(図2)などの複雑な構造を形成することを発見しました。

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(左)図1 ダブルダイヤモンド型の構造のSAXSプロファイル。10 nm程度のダブルダイヤモンド型のネットワーク構造が存在することを実証した。
(右)図2 σ相のSAXSプロファイル。半径7 nmの球が集まって複雑な格子を形成することが分かった。

ブロック共重合体による新材料は、従来の塊状の材料から切り出して加工する方法と比較して、非常に簡易な方法でナノメートルオーダーの微細な構造を形成できるため、次世代のリソグラフィー法や先端的なナノテク材料への応用が期待されています。 こうした発見や測定手法は、従来の繊維高分子材料科学にとらわれない独創的な研究であるとして高く評価されました。 これらは現在PFのBL15A2で利用が可能となっています。


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