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【KEKサイエンスカフェ】10月「素粒子を作る匠の技~ミュー粒子生成標的の現場から~」

物構研トピックス
2017年12月 7日
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10月のサイエンスカフェには、東海キャンパスのJ-PARC MLFから物構研 ミュオン科学研究系 特別助教の的場さんが登場。
彼の研究対象は「ミュオン回転標的」で、右写真のようなグラファイト製の直径33cm厚さ2cmのドーナツ型円盤です。 このグラファイトは等方性グラファイトと呼ばれ、物理的性質に方向性が見られないものです。
この円盤が回転しているところに、陽子ビームを照射します。陽子はこの標的を貫通していきますが、グラファイトとの衝突によってπ(パイ)中間子を生成します。 このπ中間子が自然に崩壊してミュオンになり、ビームライン末端に輸送され実験に使われます。
このとき、標的は700度以上の高温になり、放射化し劣化します。標的をできるだけ長持ちさせるために、円盤の端に陽子ビームを照射し回転させているのです。

10/6と10/27はいつもの会場「つくば総合インフォメーションセンター」にて、10/13と10/20は総選挙の期日前投票のため、同じフロアのイベントスペース「スマートリンク」にて行いました。

10/6 「素粒子を作る匠の技~ミュー粒子生成標的の現場から~」ミュオン科学研究系 的場 史朗 先生

的場さんはミュオンを使った実験だけでなく、ミュオンを作るための研究にも携わりミュオンを作る現場で働いています。そこで、ミュオンのつくり方について話題提供しました。
J-PARC MLFでは、日本の知恵と技術を結集させ、より効率よくπ(パイ)中間子を発生させていることを熱く解説すると、雨の中集まった熱心な来場者からは、π中間子が崩壊してミュオンになるタイミングや、エネルギー効率などについて質問が相次ぎました。

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π中間子の発見のエピソードを語る的場さん(左)にはレモン牛乳が欠かせません(右)

10/13 「素粒子を作る匠の技~ミュー粒子生成標的の現場から~」ミュオン科学研究系 的場 史朗 先生

ひんやりとした雨が降った金曜日の夜、BiViつくばの一角に科学好きが集まりました。ガラス張りの部屋だったことで、通りがかりに足を止めて見ている方も多くいましたが、室内は思いのほか落ち着いた雰囲気で、参加者は的場さんの話に集中でき、濃密な時間が流れました。
的場さんは、宇宙線由来のミュオンが降ってくる様子などを身振り手振りで表現しながら、ミュオンを作る理由やJ-PARC MLFでの生成法を紹介。常連客からのマニアックな質問は的場さんを驚かせました。
お開きの後にも、ミュオン標的の現場写真が公開され、放射線防護や、ステンレスと銅を高温高圧で圧着させた巨大パーツなどについて、参加者からの質問が相次ぎました。 かぶりつきで聞いていた参加者からは一言「ミュオンはおもしろい!」 大満足のご様子でした。

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イベントスペース「スマートリンク」にて

10/20 「素粒子を作る匠の技~ミュー粒子生成標的の現場から~」ミュオン科学研究系 的場 史朗 先生

期日前投票で人通りも多いBiViつくばの一角に、会場いっぱいの30人が集まりました。
今回はミュオン生成のための固定標的(試作品)が持ち込まれ、ひび割れしにくい「等方性グラファイト」という素材や、 「焼き嵌め(やきばめ)」によって製作された熱を逃がす仕組みを、実際に見たり触ったりすることができました。
また、真空かつ放射線下という過酷な環境で回り続ける特殊なベアリングや、非接触で温度を測定するための工夫についてみんなで考えました。

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ミュオン生成固定標的はかなり重いです

10/27 「素粒子を作る匠の技~ミュー粒子生成標的の現場から~」ミュオン科学研究系 的場 史朗 先生

久しぶりの秋晴れとなった金曜日、サイエンスカフェ10月の最終日は、東海キャンパスからミュオン回転標的を持ち込んでの開催でした。
訪れた参加者からは「回転標的はどうやって冷却するんですか?」「なぜ真空容器に入っているの?」などの質問が相次ぎました。また「放射線防護服を着る方法」について、防護服一揃えから完成形までが写真で紹介されると、中学生から「防護服は使い捨てですか?」という質問もありました。
技術的な話題も多く、サイエンスカフェ終了後も、興味津々の男性陣が回転標的を囲み、時間いっぱいまで話が尽きませんでした。

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ミュオン回転標的は酸化や汚れ付着防止のため、真空容器に入っています

この日は、KEK広報室の髙橋将太さんから「10/31は Dark Matter Day(ダーク マター ディ)です」とのお知らせもありました。

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