2017年11月18日、アフリカのボツワナ共和国からKEKへアフリカ光源加速器会議からの研修生 Oladijo O Philip 氏と、Keagisitswe Setswalo氏がやってきた。 当初は11月15日着の予定だったが、飛行機が飛ばずに3日遅れたという。 成田からタクシーでやってきても着いたのは土曜日、受け入れ担当者の阿部 仁 准教授と会えたのが翌週の月曜日だったから、寒い日本で心細い週末を過ごしたのでは?と思いきや、 Oladijo氏は、そんな心配も飛ぶような、底抜けの笑顔で挨拶してくれた。
ボツワナ共和国はアフリカ南部にあり、その国境は南を南アフリカ、西および北をナミビア、東をジンバブエと接する。国土の西半分はカラハリ砂漠である。 Oladijo氏はボツワナ東部のパラピエにある大学 Botswana International University of Science & Technology (BIUST)の講師で、 化学工学、物質工学、冶金工学を担当している。Setswalo氏はBIUSTの大学院生である。
2人の滞在は12月15日までの4週間。その間に放射光実験を行い、物構研談話会として Oladijo氏の研究発表会が開催された。
研究対象は、航空機などに用いられるニッケル基の超硬合金薄膜で、Oladijo氏らはその微細構造と残留応力を調べている。 薄膜の膜厚を変えた試料を持参し、放射光科学第二研究系 佐賀山 基 准教授の指導のもと、PFのビームラインBL-8Aおよび8BにてX線回折実験が行われた。
12月7日に開かれたセミナーでは、これまでの研究とフォトンファクトリーでの実験についての発表があった。 ラボで行う実験と放射光実験を比較し、放射光を用いるとより精細に分析することができることを示した。
発表の最後に、 Oladijo 氏は、KEKで実験できてとても幸せだと述べ、感謝の意を示した。 そして、ボツワナでは放射光を使う機会がとても少ないので、今後ボツワナの大学とKEKの連携が進むと嬉しいと語った。
今回の研修での経験を活かしてOladijo氏らの研究が進み、またこのことをきっかけにアフリカ放射光建設に向けての機運が高まることを期待したい。