IMSS

KEK

つくばにて第31回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム開催

物構研トピックス
2018年1月26日

1月8日~10日 つくば国際会議場(エポカルつくば)にて、第31回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムが開催されました。 地元つくばでの開催ということで、本会の実行委員会には物構研PFの職員が多数参加しました。

今回創設された放射光科学賞を受賞したのは、PF-ARで世界初の真空封止アンジュレーターの開発に成功した北村 英男 氏です。 この技術により、2〜3GeVクラスの放射光リングで硬X線領域の高輝度光を発生させられるようになり、建設コスト・運転コストが比較的安価な中型放射光施設の世界的な建設ラッシュにつながりました。 世界の放射光の流れを変えた研究開発であり、日本が誇る放射光科学の成果です。
懇親会で乾杯の挨拶をした野村 昌治 KEK理事もこの受賞に触れ、「当時のPF-ARにはチャレンジングな研究開発を許す空気がありましたね」と振り返りました。

また、若手研究者に授与される賞である「学会奨励賞」は、大阪大学の大坪 嘉之 氏と名古屋大学の松井 公佑 氏が受賞しました。 大坪氏の受賞対象となった「固体表面での低次元電子状態における特異な電子相関現象」の一部は、物構研PFの組頭 広志教授らとの共同研究で、PFのBL-2Aでの成果が含まれています。

日本放射光学会は今年で設立30年の「而立」を迎えるにあたって、今後10年、そしてその先に放射光学会がどのような役割を果たすべきかを考える特別企画講演が開催されました。 構造生物学研究センターの千田 俊哉 センター長も登壇し、クライオ電顕や情報科学などの周辺分野と連携しつつ次世代の技術開発が必要であるとの生命科学における将来像を述べました。

この他にも、物構研の職員は多くの研究発表や企画講演のオーガナイザーとして活躍しました。 また、PFユーザーの研究室の中から、筑波大、東大、東京理科大、長岡技科大、東京電機大、総研大など約40名の学生アルバイトの皆さんがお手伝いをしてくださいました。 企業展示のブースでも、間瀬 一彦 准教授と入江工研株式会社が共同開発したPd/Tiコート真空ベローズ、山本 樹 教授が開発したマイクロアンジュレータ(内閣府ImPACTのブース)などの展示がありました。

学会のポスターおよび市民公開講座のポスターやチラシは、物構研 企画・広報室の大島 寛子さんのデザインで、「筑波山」、ガマの油売りの「ガマ」、つくば市の鳥「フクロウ」などが描かれています。

関連情報第31回日本放射光学会特設ページ